ビジネス

2018.08.17

エンジェル投資家 赤坂優「バカになって試して、失敗して、自分をアップデートせよ」

エンジェル投資家 赤坂優


入社したアパレル企業をわずか3カ月で退職

その思いを胸に、すぐ会社を立ち上げたかというと、決してそうではありません。今でもそうですが、僕はファッションが好きなので、どうしてもアパレル業界で働いてみたかった。そのためファーストキャリアはアパレル業界で働くことを選びました。

就職し、実際に働いてみたら、想像と全然違っていた。アパレル業界って、めちゃくちゃアナログな産業なんだな、と。デザイナーやパタンナーがいて、企画したものを中国の工場で量産して販売する。そこにはもちろん物流も絡んで、販売のほとんどはリアルな店舗で行う。

その時に気づいたのが「自分では服が好きだと思っていたけど、実は服を売っていくことが好きなのではないか」ということです。生地やデザインをどうするか、そういったことを考えるよりも、完成した服をどう見せるか、どのように売っていくのか。そっちを考える方が好きだと気づいたんです。

ヤフーオークションで稼いでいたことや、藤田さんの本に影響を受けたこともあって、次第に「自分はこの会社にいてはいけない」と考えるようになりまして。入社から2カ月ほどでその会社を退職。その後、イマージュ・ネットというアパレル通販会社に第2新卒で入社し、広告営業職に就きました。

焦燥感を力の源に、働きまくっていた広告営業時代

僕は2006年卒なのですが、大学の同級生は当時から勢いのあったサイバーエージェントを始め、インテリジェンスやテイクアンドギブニーズに就職していた。そのような企業で働いた方が大手の商社や銀行に行くよりも成長が早い。

そう強く思っていたので、「周りの奴らには負けたくない」「もっと頑張らないと」という焦燥感が働くモチベーションになっていましたね。

イマージュ・ネットに在籍していた約2年半は、とにかく働きまくった。その記憶しかありません。同僚が休日にキャンプへ行ったりしていても、自分は会社に出勤する。同じ職場の人が土日に出勤してないと「ラッキー」と思っていました(笑)。なぜなら、土日でも社長は出勤していたりするので、じっくりと話をするチャンスもありましたから。

また当時、意識していたのが「もし自分が会社を経営していたらどうするか?」という目線を持つこと。めちゃくちゃ細かいことですが、例えば土日に出勤している別の社員が電気をつけると、僕が消すんですよ(笑)。

これは決して意地悪でやっているのではなくて、基本的に営業時間分で損益計算書(PL)を作っているはずだから、土日は営業時間外であり電気代などは想定していないコストになるんじゃないか、と思って。

他には通販カタログの制作をやっていたので社内にはコンテンツを制作する編集部があったんですが、しっかりとコスト感を伝えるようにしていました。

新卒の社員が会社で自由に飲めるホットコーヒーを飲んでいると、「そのカップコーヒー1杯でどのくらいのコストがかかっているのかわかってる? それだけで40円のマイナスなんだよ。君は給料いくらなんだっけ?」みたいなことを言ったりして。

いま思い返すと、当時の僕はめちゃくちゃ生意気だったと思います。

なんか恥ずかしいですね・・・(笑)。
次ページ > 起業のきっかけとなった人物

文=大崎真澄 写真=小田駿一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事