「Pairs」はそれまでやってきた全てが繋がったプロダクト
創業後、一番最初に手がけた事業は、「MILLION DESINGS(ミリオンデザイン)」というデザインのクラウドソーシングサービス。
これは金山さんの影響で海外のサイトを眺めている時に参考になるサービスを見つけて、これを日本でもやりたいと思ったのがきっかけでした。
当時は社内にエンジニアもデザイナーもいないので、受託開発の会社に依頼して。向こうもプロだからうまくやってくれるだろう思っていたら、細かい改善の指示がほとんどできないし、「納期は3カ月後です」と言われ、どんどん雲行きが怪しくなっていきました。
一方、ちょうど同じ頃に出てきたランサーズは、エンジニア出身である社長の秋好陽介さんが社内で開発を手がけていたので、成長スピードが圧倒的に早い。「これは負けだな」とすぐに思いました。エウレカの最初は失敗からスタートしています。
この経験から得た教訓は、開発を内製しなければ戦いに負けるということ。そのため、まずは泥臭い事業でもいいので、とにかく足元の売り上げをつくり、自社でエンジニアやデザイナーの体制を整える。そこから、再度チャレンジすることに決めました。
創業から1年、営業する赤坂優
それからは広告代理事業をやったり、フェイスブックアプリやネイティブアプリの受託開発をやったり……。事業を運営していく過程で、少しずつ組織の地盤が整って。「そろそろ何か事業を作ってもいいかもね」と話していた時期に、海外で話題になっていたのがマッチングアプリでした。
このときは、「MILLION DESINGS」を手がけていた時代とは完全に違う。受託開発でいろんな会社のアプリを作っていたので、これまでに溜めてきたノウハウをもとに開発を内製できる。そしてフェイスブックアプリの制作やマーケティングもやってきた経験から、どうやったら多くのファンを獲得できるかの知見を活かせる。
もちろん、それぞれの事業をやっている過程では足場を固めるために必死でやっていました。でも「MILLION DESINGS」も含めて、それ以降の全ての経験が、結局は後になって「Pairs」に効いてきたんですよね。
いろいろな事業をやっていたときに「いまやっていることが無駄に見えるかもしれないけど、それは無駄ではなくて数年後に活きてくるから頑張ろう」と言ったことが現実になったんです。