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2018.08.06 07:15

「無」のチャンス! ゼロに秘められた無限の可能性


2. 純度の高い「無」を探す

無が、「純度100%」なのかどうかも、無を生かせるかどうかの判断基準になるかもしれません。バーニングマンは、アメリカはネバダ州にある砂漠で毎年行われているフェスティバルです。最大の特徴は、普段は人間が全く生活をしていない砂漠に、1週間かけて擬似的な小さな都市が形成され、祭りが終わると同時に元の砂漠へと戻してしまうこと。

この砂漠には生活インフラなどは用意されておらず、地理的にも電波などが届かないため、外界と完全に遮断されています。そのため、バーニングマンには世界中からその特異な環境に身を置きたいという人たちが毎年5万人も集まるといいます。純粋な「無」が人々によって神聖化されているような印象です。

ポイントは、会場が人間にとって完全に「無」の場所であるということです。

3. 時間を経て生まれた「無」を探す

時間がたつことによって「無」となったものに光を当てることで価値が出てくる場合があります。“Museum of Failure”は、2017年にスウェーデンに登場した失敗作を集めたミュージアム(展示)です。

これまでアップル・ニュートン、Google Glassやハーレーダビッドソンの香水などの失敗作が展示されていて、来場者は展示作品から失敗について学ぶ機会が与えられます。展示されている失敗作は、どれも最初から失敗作であったわけではありません。売されてから何年も経て人々の記憶から消えかけていました。ほぼ「無」となったときに「失敗作」という役割が与えられたことで、最高の教材という価値を得たのです。

「無」は、とても見つけにくいものです。目に見えるものや普段よく聞くものは、見つけやすいに決まっています。だからこそ、多くの人に見えていない、あるいは意識していない、顕在化されていない「無」にはチャンスがあるのです。

強い偏愛こそ、世の中にとっては「無」かもしれません。本当に何もない純度100%の「無」も珍しいので、生かす道がきっとあります。

また、時間が経過することではじめて「無」になっていたことがわかり、光を当てられる場合もあります。ぜひ今日から「無」に目を向けてみてください。昨日までは気がつかなかった「無」に。そこには、思いがけないチャンスが眠っているかもしれません。そういえば、星の王子様も言っていました。本当に大切なものは目には見えないのだ、と。


電通Bチーム(旧電通総研Bチーム)◎A面(本業)以外に、個人的なB面を持った社員が集まり、いままでと違うやり方=planBを提案する「オルタナティブアプローチ」チーム。閉塞感を打破する方法をつくっています。現在50以上のプロジェクトを支援中。平均年齢約35歳。

大山 徹◎電通 第5CRP局/電通Bチーム「Play」特任リサーチャー。近年は「あそびから入る」を自身のテーマとして広告、教育プログラム、ゲームの開発など、幅広く“楽しく”活動中。

文=大山 徹 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN 「全員幸せ」イノベーション」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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