欧州の小国ルクセンブルクでは、教師は尊敬される職業で、人気も高い。経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、ルクセンブルクの教師の報酬は世界一で、初任給は約6万8121ドル(約760万円)だ。
しかし彼女は出産後、自分のキャリアに満足できていないことに気づいた。そこで、教師を辞め、自分が最も必要としていた「睡眠」に焦点を当てることにした。
栄養学や睡眠科学に関する資格を取得したハンセンは、ホリスティック(全体的)な手法を用いて顧客の眠りの改善に取り組むスリープ・ライク・ア・ボス(Sleep Like A Boss)を設立。事業開始から3年目に入った現在、彼女は世界中の疲れ切った顧客のマンツーマン指導、デロイトなどの企業でのワークショップ開催、イブ・スリープ(Eve Sleep)など寝具販売企業へのコンサルティングなどを手掛けている。
またハンセンは先日、仲間の栄養士ケンドラ・ペリーと共に「360ヘルス・ビズ・ポッドキャスト(360 Health Biz Podcast)」を立ち上げた。同ポッドキャストでは、健康関連のビジネスを開始するためのコツやアドバイスを共有している。
ハンセンは、思い通りの生活を送る中で自身が得た学びを共有してくれた。ここでは、彼女の言葉を紹介する。
恐怖心ではなく直感を信じること
「私にとって最も大きな一歩だったのは、仕事を辞めたとき。私は高校教師だった。ルクセンブルクの教職は他国と全く違い、地位も報酬もとても高く、安定したキャリアだ。教師の採用試験に初めて合格したとき、父親がそれまでにないほど強く抱きしめてくれたことを覚えている」
「父は『娘にはキャリアがある。もうこれで安全だ』と思い、とても安心していた。でも私は、教職が本当に自分のしたかったことなのかどうか、ずっと確信が持てずにいた。満足できていなかったのだ。そのため、教師を辞めてこのビジネスを始めようと思っていることを家族に伝えるのはとても怖かったし、今でも誰かにその経緯を伝えるときは、時々怖いと感じる」
「すべきこと」を捨て去る
「それから、自分の時間を奪っていた多くのことを片っ端から断るようになった。収入にならないことが分かっているものはなおさら。友人の誘いを断ることは失礼に感じるかもしれないが、誘われた夜が唯一、顧客対応しなくてよい夜だったとすれば、自宅にいたい。夫とテレビの前に座って静かに過ごしたい。昔よりも家で過ごす時間がとても増えている」