一方、犬や猫が好きではないという珍しい人にとっても、ペットには投資において重要な点がある。成長速度が低い米経済は、いつかの時点で景気後退局面に突入するだろう。そうなれば、誰もが支出を削減する必要に迫られる。それでも、多くの人は自分の生活がどれほど厳しくなっても、ペットの世話を投げ出したりはしないはずだ。
必需品の一部に
筆者は2年近く前、多くの人が子供を持つ代わりにペットを飼うようになっているという半ば冗談で、半ば真実と言える内容の記事を書いた。実際に、子供の数は少なくなっている。だが、私たち人間には誰かの世話をしたいという本能がある。多くの人が、世話を焼きたい欲求をペットで満たしている。
言い換えれば、ペットの世話に必要な基本的な商品は食品や電気のように、いまや私たちの生活必需品の一部になっているということだ。そして、一部の同分野の商品とは異なり、ペット関連商品の需要は拡大している。
米ペット製品協会によれば、米国人は今年、関連の商品の購入に721億ドル(約8兆200億円)を費やすと見込まれている。5年前と比べ、約30%増加することになる。こうした傾向は、その他の多くの国でも見られる。つまり、関連商品を扱う企業は、投資対象として適切だと考えられるということだ。
投資対象はどう選ぶ?
米国ではペットを飼う人の増加に伴い、関連支出が大幅に増加している。過去10年間には年平均4.6%伸びを記録した。消費支出全体の3倍に当たる伸び率だ。さらに、過去3回の景気後退期にも、ペットケア関連の支出は増加を続けた。
関連支出の約40%は、ペットフードの購入費用だ。そして、その支出は、ペットフード販売の大手は食品大手ゼネラル・ミルズやJMスマッカーなどの売上高となっている。今年に入り、ゼネラル・ミルズはペット関連商品を手掛けるブルーバッファローを80億ドルで買収。JMスマッカーはペットフード大手エインズワース・ペット・ニュートリションを約17億ドルで傘下に収めた。
大企業による同業他社の吸収合併は、投資したいペットケア関連企業の選択を難しくする。特定の関連商品を扱う小規模の公開企業もあるが、そうした企業は株価のボラティリティが高い。賢明な分散投資を行うためには、数多くの関連企業の株を購入する必要があるだろう。