まず、好きなことやライフワークは、“あったほうが人生が豊かになる”ということは間違いないのですが、“なければ不幸です”というわけでもないです。ただ、「好きなこと」に対して、アンテナを張る、自覚的であることは、どんな時でも自分の視野を広げてくれると、僕は考えています。
それはなぜか? 例えばサラリーマンになると、どうしても日々のルーティンワークの中で、“心惹かれるもの”について、気を向けなくなってしまいます。なぜなら、自分の目標を、組織(会社)の目標そのものと同一視してしまうようになり、個人としての希望を省みる時間が減っていってしまうからです。
まずはフィルターを外すことから
きっと誰でも、子どもの頃のように時間や心のゆとりがあった時期は、好きなことがたくさんあったはずです。大人になった今、好きなことがなかなか見つからないのは、単に就活のために自分を最適化したり、時間に余裕がなくなったりすることによって、視野が狭くなってしまっただけのことです。
その状態で「好きなことで稼ごう!」とすると、今度は手軽に稼げることや、他人にアピールできることに最適化した「好き」を探してしまいます。つまり「稼ぐ」というフィルターをかけた時点で、多くの「好き」を見逃すのです。
そういった枷(かせ)を外していくために、まずは普段から「何となく心惹かれるものにアンテナを張っておく」くらいで、気楽に構えてみてはいかがでしょうか。例えば僕は、電車の中吊りや窓枠の広告をみて、クスッとくるようなキャッチコピーを見つけると、つい嬉しくなります。
ここで重要なのは、何も「じゃあ電車の中で嬉しくなることを探そう!」などと気負わないで欲しいということです。そうではなくて、ふとした時に「あ、今嬉しくなったな、俺」という瞬間を、ちゃんと心に留め、日々の優先順位の中で埋れさせずに、大切にして欲しいのです。「気づくとショートカットの子に目が行くなあ、俺」とか、「袖をまくってる男、見ちゃうなあ私」とか、そんなことでもいいと思います。