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I'm a doctor who writes about addiction, nutrition and mindfulness.

5日に自殺してしまったケイト・スペード(Photo by Brian Ach/WireImage)

もう耐えられない──。医師である筆者は診療室で、数えきれないほどの患者たちが静かに、恥ずべきことであるかのように目に涙をためながら、そう打ち明ける言葉を何度も耳にしてきた。

6月上旬、自ら命を絶ったファッションデザイナーのケイト・スペード人気シェフのアンソニー・ボーデインもまた、それぞれの最後の瞬間に一人きりの部屋で、同じことを思っていただろうか。

キャリアを積むことに成功した女性なら、人気ファッションデザイナーのスペードを直接知っていたわけではなくても、彼女を自らと関連付けて考えることができる。また、人気シェフとして各地を飛び回り、「世界を喰らって」きたボーデインのような生き方は、誰もがうらやむものだろう。

だが、彼らも私たちと同じように、いくつもの問題を抱えていた。自殺した2人の著名人はどちらも、うつ病と不安に苦しんでいたのだ。自殺についてはそれだけで教科書が一冊つくれそうだが、ここではこの問題に関する5つの誤解について、考えてみることにする。

誤解1. 自殺する人は「意思が弱い」

私たちの社会は相変わらず、自殺願望がある人や実際に自殺した人たちを批判的に見る。だが、最も苦しいときにある人が社会的な信頼を失えば、その人は絶望感を深めることになる。

全員ではないとしても、うつを経験する人は多い。ある精神科医は、うつは「選んでそうなるものではなく、脳障害だ。外見や経済的な豊かさ、名声に関わらず、私たちに影響を及ぼす」と話す。世界保健機関(WHO)の報告によれば、自殺する人の数は毎年、世界中でおよそ80万人に上る。防止と治療の鍵を握るのは、自殺や精神疾患をタブー視しないことだ。

誤解2. 自殺者は貧困や失業などで「本当に苦しい人だけ」

自殺の危険性は、誰にでもある。米疾病対策センター(CDC)によると、米国の自殺率は1999年以降、30%上昇している。また、自殺者の50%までがうつ病と診断されていたことが分かっている。だが、自殺の要因にはお金や健康の問題、家庭や職場でのストレスなど、ほかにもさまざまなことが含まれる。

自殺は米国では10番目に多い死因だ。また、死因として増加しているわずか3つの原因の一つだ(ほかに増加しているのは、薬物の過剰摂取とアルツハイマー病)。また、自殺の危険性を高める要因には、自殺未遂の経験、家族または本人の薬物使用の問題や精神疾患、慢性痛、家庭内での暴力や銃使用に関わる問題、などがある。

誤解3. 自殺は「全ての人に等しく影響を及ぼす」

自殺は あらゆる職業・社会的地位の人に影響を与える。だが、CDCや国立精神衛生研究所 (NIMH)などによれば、特定のグループそれぞれに特徴的な傾向が確認されている。

編集=木内涼子

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