米デザイナー、ケイト・スペードの死と「ブランドの歴史」

ケイト・スペード(Andrew Toth/ by Gettyimages)

米国の著名ファッションデザイナー、ケイト・スペードが6月5日、ニューヨークの自宅マンションで死亡しているのが見つかった。ニューヨーク警察はフォーブスの取材に「自殺だった」と述べた。55歳だった。

彼女の名を冠したブランド「ケイト・スペード」は2017年、高級革製品のコーチ(現タペストリー)に24億ドル(約2600億円)で買収されていた。しかし、この買収で彼女は利益を得ていない。

スペードと彼女の両親は、1999年にブランドの株式の56%をニーマン・マーカスに3600万ドルで売却していた。さらに、2006年には残りの株式を5900万ドルで売却していた。

ケイト・スペードの設立は1993年。雑誌「Mademoiselle」のアクセサリー・エディターだったスペードは、後に夫となる大学のクラスメートのアンディとともにブランドを立ち上げた。設立資金はアンディの預金、3万5000ドルだった。

スペードは1998年のフォーブスの取材に次のように述べていた。「母親は当時の私の決断について『うぬぼれ屋が調子にのって、健康保険つきの仕事を放り出すなんてどういうつもり?』と言った」

最初のハンドバックをトレードショーに送り出す直前、彼女は自身の名前のロゴをバッグの外側につけることにした。雑誌「Vogue」にバッグが掲載されると、ケイト・スペードの名は一躍有名になった。1993年には10万ドル以下だった売上は、1995年には150万ドルに達した。その後、1998年には2700万ドルの年間売上を生むまでに成長した。

2006年にケイト・スペードの全株式を取得したニーマン・マーカスは、その1週間後に「リズ・クレイボーン」にブランドを売却。金額は負債も含めて1億2400万ドル(約136億円)だったと伝えられている。その後、2014年にリズ・クレイボーンはブランドを「Kate Spade & Company」に刷新した。

スペードは2016年、夫とともに、娘の名を冠した新ブランド「FRANCES VALENTINE(フランシス ヴァレンタイン)」を立ち上げていた。

編集=上田裕資

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