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先日自殺したとみられているアンソニー・ボーディン(Photo by Larry French/Getty Images for DC Central Kitchen)

私は誰かが自殺した後に交わされる会話を聞くたびに、興味を掻き立てられる一方で、時に激しい憤りを感じる。こうした会話に必ず存在するのは混乱、つまり、「自ら命を絶つ人がいるなんて信じられない」という姿勢だ。

米著名シェフで作家のアンソニー・ボーデインが先日亡くなり、自殺とみられている。多くの人がこの訃報に言葉を失っている一方、ソーシャルメディアでは、次のようなよくある言葉がみられた。「たった2日前に、笑っている彼の映像を見た。何か起きたに違いない。自殺するなんて考えられないほど幸せそうだった」「なぜ自殺などするのか。金持ちで有名なのに!」

先週にデザイナーのケイト・スペードの自殺が報じられた際も、同じ反応があった。「なぜ13歳の娘を残して死ぬことができるのか。訳が分からない」というものだ。

しかし、うつと不安のどん底に落ちたことのある人にとっては、完全に理解できることだ。周囲から示される不信感や無理解、軽蔑を目の当たりにした人、世界が喜びと絶望に同時に満ちているような説明しようのない瞬間を生き延びた人なら。

感情の悪魔と闘い続ける人々は、自分から言葉を発し、自分が抱える痛みを説明し、勇気を出して助けを求めてきた。だが、理解や共感が不足している場合が、あまりにも多い。こうした状況は終わらせなければならない。

深まる問題

過去20年弱の間に、米国内の半分の州で自殺率は30%以上増加した。また、米国立精神衛生研究所の2016年の発表では、米国で10番目に多い死因は自殺だった。全米不安抑うつ協会(ADAA)によると、米国人の18.6%以上が不安症に苦しみ、6.7%はうつ病を患っている。精神病に関する偏見を考えれば、実際の数はさらに高いと考えるのが妥当だ。

米医療保険大手シグナと世論調査会社イプソスが最近、米国の成人2万人以上を対象に実施した調査では、46%が「常に/ときどき孤独を感じる」と回答し、43%が「有意義な人間関係を築けていないと感じる」と回答。さらに衝撃だったのは「自分を本当に理解してくれる人がいると思うことはほとんど/全くない」と回答した人が27%いたことだ。

編集=遠藤宗生

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