そんな中、アマゾンの一歩先を行くかたちでドローン配達の実用化に歩みだした企業がいる。その企業とは、今年春にアリババが推定95億ドル(約1兆円)で買収した食品デリバリーサービス大手の「Ele.me(饿了么)」だ。
5月29日、Ele.meは上海の金山工業団地の58平方キロメートルのエリアの17ルートで、ドローンの飛行許可を得たとアナウンスした。同社はスターバックスなどの100店舗から、20分以内の宅配を実施しようとしている。
同社は今回のオペレーションの実施にあたり、外部企業からドローンを調達したという。また、宅配にあたっては下記のような手順をとるようだ。
1. 顧客の注文を受けた宅配ドライバーが店舗に向かい、商品をピックアップ。そして、ドローンの発着所に向かい、ドローンに商品を積み込む。
2. ドローンは離陸し、顧客の最寄りの発着所まで飛行する。
3. 発着所で待機していた別の宅配ドライバーが、ドローンから商品を取り出し、顧客の家に向かう。
このスキームであれば、顧客はドローンと接する必要がなく、安全に宅配が行なえる。また、従来は30分かかっていた輸送時間を20分に短縮できるという。さらに、ドローンの導入により人間のドライバーがカバーするエリアを減らし、コスト削減の効果もある。同社のドローン配達は現状で、50キロ以内の距離の宅配に利用可能だという。
ドローンの活用によりEle.meは受託する配達の量を増やし、ドライバーたちは最大で現状の5倍の収入が得られるようになると同社は試算している。
Ele.meが投入する最新のテクノロジーはドローンだけではない。Ele.meのバイクのドライバーたちが、専用のヘッドアップディスプレイを備えたヘルメットを装着し、走行ルートなどをリアルタイムで伝える計画も進んでいる。
中国ではEコマース大手の「JD.com(京東)」も、今年2月に陝西省でドローン配達の許可を得ている。中国のデリバリー分野では、ラストワンマイルの効率化を目指し、大手企業が先を争うように新たなテクノロジーの導入を行なっている。