岡島:イノベーションはだいたい「好き」や「遊び」から生まれてくるわけで、熱狂的に「これが楽しい」と思う人たちが作るものでしょ? それでいうとやっぱり遊びは大切だよね。私たちは普段から全然違う領域の人たちと遊ぶけど、そのとき“遠いもの同士の掛け算”の方が面白い。
松嶋:その先になんとなくヒントがあるんだよね。岡島さんは遊ぶ仲間づくりも上手。それが仕事の結果にもつながっていると思うけど。
イノベーターというよりリノベーター
岡島:単純に自分と違う人が好きなんだよね。"外付けハードディスク"みたいな。「この人凄い」って思ったら「友達になりたい!」って思う。そこで年齢とか属性は関係ないです。
そういう意味ではミーハーだと思うし、自分でコツコツ内省して勉強するより、知りたいことがあれば、それを一番知っている人に教えてもらいたいタイプ。そうして自分の世界観を広げる感じかな。ものごとの抽象度を上げていくと、違う領域の人たちとも共通項があって、一緒に歩める気がする。
松嶋:それもキュレーションですね。色々な人と色々とやってる方が解決策がいっぱい出てくるんですよね。僕は“食”という全ての人に関わる原点のところで、さまざまな分野の人の話を聞きながらそれをシャッフルしている感じです。
岡島:私の場合はそれが“ビジネス体験”で、これまで診て来たカルテ数がすごく多いんだよね。たくさん診てるから「この人とこの人の症状は同じだ」って気がつく。
松嶋:僕もまったく同じですね。
岡島:私たちはプロデューサー気質というか、キュレーター気質というか、色々な具象を見て、抽象度を上げてもう一回料理し直す、みたいなことをひたすらやっている。そういう意味では似ているんだと思う。私も経営チームを入れ替えてもう一回作り直す、みたいな仕事を結構しているし。しかも“生き物”を扱っているのも同じ。ほっとくと腐っちゃうからね。
松嶋:扱う対象は違うけど、発想的な部分は似ていていますよね。
岡島:あと、二人とも元来の職種的な区分の中でやっていないよね。異領域の架け橋的なことも多い。私は社員に、職業を訊かれたら、「“岡島悦子です”って答えて」って言っているくらい(笑)。組織開発コンサルタントとか言っても分かりづらいし、それにあてはまらない仕事も多くしてるから。そういう意味では新しい領域の仕事、働き方を切り開いていっている感じはある。
松嶋:イノベーターというよりも、リノベーター的ですよね。作り直すことも多い。
岡島:そうかも。私の存在は、企業のスタートアップの時期にはそんなに必要がない。企業が成長してきて、“中2病”とかにならないと私のバリューが出ないというか……。
松嶋:ゴッドマザーですね(笑)。帰ってくる場所。