「ファッションの数値化」実現の鍵はデータが握っている
──今回、子会社3社が統合する形でスタートトゥデイテクノロジーが始動しました。統合の背景、統合したことでどういった相乗効果を期待しているのか、その点からお伺いできますか。
金山: スタートトゥデイ工務店、VASILY、カラクルの3社が一緒になった背景には「攻め」と「守り」の2つの側面があります。
攻めについて、まずは説明しましょう。世間一般の認識だと、当社はあまりテクノロジーに強い会社だと思われていないかもしれません。しかし、実際は人員の6割がエンジニアで2割がデザイナー。ソフトウェアづくりに関わる人間が8割もいるんです。
この中には、さまざまな技術スキルや経験を持った人たちがいるのですが、3社がそれぞれ独自で動くと、どうしてもノウハウや発想、スキルの流動性が高くなっていかない。
もちろん、3社ともスタートトゥデイの完全子会社で仲間ではありますが、屋号が違うことで、ちょっとした壁が出来ていました。その壁を壊して、ひとつの箱に入れることで人材の交流やノウハウ、情報の流通の総量を増やしたい。そうすることで、新しい発明や優れた技術が生まれる環境をつくりたい、というのが攻めの部分です。
一方、守りについては、我々はZOZOSUITで採寸したデータを始め、ファッションに関するお客様の大切なデータを大量に預かっています。いま世界ではフェイスブックの問題や、2018年5月に施行されるGDPR(EU一般データ保護規則)が注目を浴びているように、データの取り扱いをより堅硬に、安全なものにしないといけなくなってきている。
そうした時代の流れにおいて、3社がそれぞれの基準でデータ管理をするより、ひとつの会社として同一の基準で厳格に管理し、大切なデータを外に漏れないようにしていく。これが守りの目的です。
3社が協力すれば攻めと守りを両立できると考え、統合に至りました。
──今後の大きなテーマとして「ファッションの数値化」を掲げています。この数値化はどのように進めていくのでしょうか?
金山: スタートアップ的なアプローチで進めようと思っています。なるべく小さく、スピード感を持って大量の仮説検証をひたすら積み上げていく。その過程で成功や失敗を積み重ねながら、ノウハウを蓄積していくことで最終的にファッションの数値化を達成したいです。
何か明確な答えがあり、トップダウンで大きな仮説をつくるアプローチは考えていません。また、アメリカや中国の会社がやっているサービスを日本で展開するタイムマシン的なやり方でもなく、リーンスタートアップ的に仮説検証をひたすら回していくつもりです。