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I write about the Chinese economy and financial sector.

August_0802 / Shutterstock.com

わずか40年前までは、中国の消費者の選択肢は限られていた。服を買おうにも、似たようなくすんだ色の物しかなかった。それが今や、富裕層はもちろん中流層も高級ブランド品を購入することに夢中だ。マーケティング企業「Walkthechat」の調査によると、全世界の高級ブランド品市場の32%を中国人消費者が支えており、今後もその割合は増え続けるという。

しかし、需要が高まる一方で、多くの海外高級ブランドが中国市場への浸透に苦戦している。Eコマースが発展している中国では、ターゲットとなる年齢層や所得層を見極め、それぞれに合ったソーシャルメディア戦略を練る必要がある。ところが、消費者の嗜好や販売経路が常に変化し続けているため、戦略を立てづらいのが現状だ。

ブランドの中国進出の課題

まず、中国の消費者の信頼を得るためには、複数のマーケティング手法を使うことが不可欠だ。動画を好む消費者もいれば、ウェブサイトやゲームなどに馴染み深い消費者もいる。

ブランドの知名度が低い場合は、さらなる難関が待ち受ける。中国で広く知られているのは一部の人気ブランドに限られる。ブランド認知度を上げる一つの方法として、コンサルティング大手の「マッキンゼー・アンド・カンパニー」は大型旗艦店の出店をあげる。

また、中国のセレブリティを広告塔に起用する方法もあるだろう。消費者にブランドをより身近に感じてもらうことが目的だ。ただし、ある程度のローカライゼーションは消費者の信用を得る上で有効だが、ローカル文化に寄せ過ぎるとブランドのグローバルイメージから離れてしまう危険性がある。グローバルとローカルの均衡を保つこともまた難しい。

中国のEコマースではソーシャルメディアが最も重要な販売経路だ。ブランドや商品に関するバズが生まれるのもSNSにおいてだ。中国では多機能型メッセージアプリのWeChatが最も頻繁に使われており、中国に進出した大手ブランドはいずれもWeChatアカウントを活用している。

消費者の関心を惹くためには、ブランドは商品情報を流すだけでなく、WeChat上でエンタテインメントを含む各種サービスを提供する必要がある。たとえば昨年、「グッチ」はカスタマイズ可能なスタンプとギフトカードを提供し、スイスの「バリー」は実店舗でのサービスの予約を受け付けた。

中国企業による海外ブランド買収

中国企業が海外の高級ブランドを買収する動きもある。最近では、投資会社の復星国際(Fosun)が2月に資金繰りに窮していた仏ファッションブランドの「ランバン」の株式の過半数を取得した。

同社はさらに5月、オーストリアのファッションブランド「ウォルフォード」の株式の過半数も取得している。また、「レナウン」をはじめ数多くの外資アパレルを傘下に収めてきた山東如意(Shandong Ruyi)は、2月に「バリー」を買収。バリーの親会社の「JABホールディング」は昨年ファッションビジネスからの撤退を宣言し、傘下ブランドの売却先を探していた。

中国企業による海外高級ブランドの買収には、事業の拡大に加えて、マーケティングのノウハウの取得や、他の有名海外ブランドとの接点を作る狙いもある。

もっとも、中国企業による買収を機に息を吹き返すブランドばかりではない。イタリアの紳士服ブランド「ラファエル・カルーゾ」は2013年に復星国際に買収されたが、その後中国で人気が出ているとは言えない。中国においてブランドの認知度をゼロから引き上げるには、強力なマーケティング戦略と資金の両方が必要なのだ。

編集=海田恭子

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