一方で、日本に目を向けると、世界経済フォーラムが2017年11月に発表した性別における平等性をはかる「ジェンダー・ギャップ指数」において日本は先進国の中で最下位(144か国中114位)を記録しました。先進国のなかで最も男女格差があると言われる日本では、性別の枠組みだけでなく、旧来の社会構造や固定観念によって、個人のキャリアや選択肢が狭められています。
もちろん、エンパワーメントはジェンダーの文脈だけで語られるものではありません。しかし、どのようなジェンダーであっても、社会的、経済的、政治的に平等であるというフェミニズムの思想と、エンパワーメントの文脈も、切っても切り離せられないものなのです。
またグローバルにおける「フェミニズム」は、とうに日本の広辞苑にあるような解釈ではありません。女性のためのものではなく、全ての性にあてたものなのです。
フェミニズムメディアの台頭
エンパワーメントの概念が進む中で、フェミニズムの思想を色濃く持つメディアが増えていることも現状です。
・月間4.5億人が閲覧する「Refinery29」
ミレニアル世代から圧倒的な支持を集める女性向けメディア「Refinery29」は、フェミニズムの思想を色濃く持つメディアです。
Women’s Marchにも都度参加し、その様子をインスタグラムのストーリーで発信しています。また、その他の社会問題、たとえば銃規制の問題や、ボディポジティブについてなど、積極的に情報発信しています。フェイスブックでは、「Storong Opinions Loosely Held」というスピンオフメディアを持ち、より深い議題について、ライブ動画なども活用しながら、話し合っています。
出典元:refinery29 instagram
・10年以上続くフェミニズムメディアも
たとえば、「FEMINISTING」は、ポップカルチャーから政治まで、幅広いテーマのフェミニズムを扱っています。フェミニストの団体やロビイストへ声を届けるといった、ムーブメントのポータルとしての役割をもつ、10年以上続く歴史あるフェミニスト・メディアです。
出典元:FEMINISTING
・若きフェミニストが運営する「babe」
また、2016年5月にスタートした、20代前半の若いフェミニストが運営するWEBサイト「babe」は、インスタグラムやフェイスブックを通して、月間300万人以上のユーザーに、ニュースやトレンド、セレブたちの日常などのコンテンツを発信しています。
出典元:babe
コンセプトの「babe is for girls who don’t give a fuck」も、「(誰が何を言おうと)知ったことではない」と「fuckしない」の2つを掛けていて、ミレニアル世代の価値観とフェミニズムをうまく表現しています。
海外では、エンパワーメントのムーブメントが拡大しており、そうした思想を帯びるメディアも増え続けています。ここで紹介したものはほんの一部。しかし、日本では、そうした思想もまだまだ定着していません。