時計界久々の衝撃ニュース
それは時計界における久々に大きなニュースだった。独立系時計ブランドの雄、ブライトリングの株式を投資会社CVCキャピタル・パートナーズが取得。その傘下に入ることになったというのだ。
時計界でも希有な存在であるあのブライトリングが変わってしまうのか? 個性的なコレクションはどうなるのか……時計好きの間では、この話題で持ち切りとなった。
そして、その答えは1月29日、30日に上海で行われたワールドプレミアでお披露目されることとなった。チューリッヒ、ニューヨークでも同様のイベントが開催される予定で、アジア圏は上海で、ということである。
クロノグラフ中心に発展
そんなブライトリングの歴史について、ここで少し振り返ってみたい。
ブライトリングは、1884年に誕生。創業当初からストップウォッチと懐中型クロノグラフの製作に力を注いでいる。やがて、航空機時代の幕が開き、創業者であるレオン・ブライトリングはパイロットを夢見るのだが、それが叶わぬと、その思いを時計に託し、パイロット用の小型懐中クロノグラフを次々と作り出していく。そして、高い評価を得るのである。
息子の時代に移っても、その姿勢は変わらず、クロノグラフを中心とした時計作りを押し進めていく。
そして、1915年には、独立した専用プッシュボタンを備えた世界初の腕時計型クロノグラフを発表するに至る。その後も、23年にはスタート&ストップとリセット機構を分離。34年には、クロノグラフ針をリセットする専用の第2ボタンを開発していく。つまり、現在人々が親しんでいるクロノグラフ機構の多くは、ブライトリングによって開発されたもの、といえるのである。
そんなブライトリングが、航空時計のスペシャリストとして確固たる地位を確立したのが、36年の英国空軍とのコックピット・クロックの供給契約である。このプロジェクトで高い評価を得たブライトリングは、その後、多くの航空機メーカーと契約を結び、さらにその名を高めていった。
現在もブライトリングの代表的モデルである「クロノマット」は、世界初の対数目盛り付きの計算尺を装備したモデルとして42年に登場し、52年には航空用回転計算尺によって大半の航空計測を可能にした「ナビタイマー」が発表された。20世紀中期のこの時代には、すでに現行モデルの原型が出来上がっていたのである。