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世界を目指す「社内発イノベーション」事例

ソウル・江南駅からほど近いところにあるWeWork、ビル7F〜18Fを占有。

平昌五輪の舞台として連日熱戦が繰り広げられている韓国は、ユニコーン企業輩出国としても存在感を示し始めている。米国のカスタムリサーチ会社CBインサイトによると、2017年9月時点で全世界におけるユニコーン企業は215社あり、アメリカ106社、中国57社、インド10社、イギリス6社、ドイツ5社に次いで韓国は3社。本リサーチによると日本(1社)を上回る。

グーグルがアジア初の拠点として、ソウルにスタートアップコミュニティスペース「キャンパスソウル」を作り、WeWorkの進出も日本より早い。それ以外に広大かつ個性的なインキュベーション施設やアクセラレーションプログラムが点在している。

政府主導でベンチャー企業育成支援

韓国のベンチャー企業への取り組み強化は30年ほど前に遡る。1995年にベンチャー企業協会設立後、1996年にベンチャー企業や中小企業向け市場のKOSDAQを設立、1997年にベンチャー企業育成法の制定と相次いだ。1998年、アジア通貨危機で失業数が増えたことが起業を後押し。1999年から2000年にかけてKOSDAQの指数が最高値を記録した。カカオやNCSOFT、NAVERができたのもこの頃だ。


ソウルのコワーキングスペース「Hey Ground」。オフィススペース以外に2フロアずつ吹き抜けの空間が用意され、窓側の席には電源とUSBコードの差込口が完備。

とくに注力していたのは朴槿恵・元大統領。2013年、アクションプランにてベンチャー企業の育成を掲げ、スタートアップ支援ファンドの設立や創造経済革新センターを10数カ所配置し、地方自治体らと結託。そうした活動を重ねた結果、2017年ベンチャー企業社数は約3万4000社にのぼり、韓国中小ベンチャー企業省によると、投資額は過去最高となる2兆3803億ウォンを記録した。

文在寅・現大統領に至るまで政府主導でベンチャー企業育成支援に取り組んでいるが、民間でも動きがある。韓国のGDPの約7割を占めるといわれる財閥だ。

政府とNAVERによるNPOコミュニティ「Startup Alliance」でディレクターを務めるKidae Lee氏によると、サムソンは世界中のスタートアップとコラボレーションする傍ら、社内ベンチャー制度として一部の株式をサムソンが持った形で従業員がスピンアウトできる「C-LAB」という仕組みを導入し、IoTなどの領域でグローバルスタートアップを数多く輩出している。SKグループやハンファグループ等はコーポレートアクセラレーションプログラムを展開しているという。

ちょうどLotte AcceleratorとHyundai Card(現代カード)に訪れる機会があり、話を聞いた。

韓国のYコンビネーターを目指す「Lotte Accelarator」



Lotte Acceleratorは3年前にYコンビネーターを目指して作られ、いわゆるコーポレートアクセラレーションプログラムに分類される。アクセラレーティングチームのマネージャーを務めるLee June氏は、設立にあたり、2つの意義があったと話す。

「1つはCSR。中小のスタートアップを支援していくことで社会的責任を果たすのが目的です。もう1つはオープンイノベーション。新規事業で遅れがちになる部分をスタートアップとの連携で加速していくことに狙いがあります」

文=木村忠昭

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