キャリア・教育

2018.02.13 08:30

外資企業だから気づいた「日本企業の働きにくさ」

古田理恵 フェイスブックジャパン クライアントソリューションズマネージャー

古田理恵 フェイスブックジャパン クライアントソリューションズマネージャー

フェイスブックは4年ほど前から全社的に職場のダイバーシティの向上を目指し、その進捗を世界に向けて発信し続けてきた。

社員の働きやすさを追求することにも積極的で、マーク・ザッカーバーグCEOが数か月間の育児休暇を取得したことは象徴的だ。COOのシェリル・サンドバーグも、あらゆる場面で、女性が成功する機会づくりの重要性を説いている。日本支社の先頭に立って社内の啓蒙活動を行っているのが、古田理恵だ。

各国の支社でも本国と同じ社風が貫かれるなかで、2010年に立ち上がったフェイスブックジャパンは大きな課題を抱えていた。香港など他国の支社に比べて、営業職における産休の取得者や、出産後に復帰した女性社員の数が著しく低かったのである。

古田は、自身が学生時代から女性学に関心を持っていたこともあり、ダイバーシティに関するプロジェクトのなかでも、女性社員が働きやすくなるための仕組みづくりに注力することを決意。ランチタイムに、お弁当付きでパタニティリーブ(男性の育児休業)を取得した社員の体験談を聞くイベントを開催するなど、小さいながらもいくつものプロジェクトを打ち立てた。

苦労したのは、保育園探しを手伝うための「育児コンシェルジュ」を福利厚生に加えようとしたときだった。グローバル企業で社内制度に切り込んでいくためには、そのつど他国の承認を得なければならない。日本の保育園探しがいかに大変かを、待機児童の割合の数字を見せながら海外のオフィスに訴えかけた。韓国や他の国でも保育園探しは同じくらい苦しい状況だ、という指摘を受けながらも粘り続けた。

少しでも多く、子育てと仕事を両立しているロールモデルを生み出したい。そう考えていた矢先、偶然にも古田が18年春に第一子を出産することになった。自身が子どもを授かってみて初めて、妊娠を職場に告げるタイミングや、産休・育休からの復帰の時期は個人の考え方に委ねるべきであって、ダイバーシティという概念にはそれも含まれているということを悟った。

今後は制度づくりに加えて、自分が良きロールモデルになれれば、と古田は話す。「女性が活躍できる風土づくりを社内で成功させたら、次は社外へ発信していきたい」。フェイスブックという企業でなら、世界へ発信することも難しくはない。

<3つの質問>
1. 好きな言葉は?
「If you’re offered a seat on a rocket ship, don’t ask what seat! Just get on.」

2. リフレッシュ法は?
インターネットが大好きなので仕事中も、一息つきたいときもインスタグラムを見ています。

3. 影響を受けた本は?
シェリル・サンドバーグ『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』


古田理恵(ふるた・りえ)◎2007年、電通レイザーフィッシュに入社。10年に同社を退職し、ベビーシッター用のビザを取得してアメリカ・コロラドでホームステイをする。ホストファミリーは夫婦共働きだが、夜は子ども達と過ごす時間を確保している様子に感銘を受ける。日本に帰国後、12年、グリー入社。14年にグリーを退社し、フェイスブックジャパンに入社。大学時代に女性学を専攻した経験を活かし、16年からはフェイスブックジャパンオフィスにおけるダイバーシティ推進プロジェクトを立ち上げ、牽引している。

文=吉田彩乃 写真=帆足宗洋(Avgvst) スタイリング=石関淑史 ヘア&メイクアップ=大山美智

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