多数の応募から選ばれた10社の業種の内訳は、音楽プレイヤーが1社(Mighty)、生体認証が2社(Blink Identity、Endel)、AIが3社(Edison. AI、SecondBrain、Spark DJ)、チケット発券サービスが2社(Hellotickets、Seated)、そしてストリーミングが2社(Gimme Radio、Soundcharts)だ。
「AIやブロックチェーン関連はやはり強い。その一方で、我々はリアルな音楽体験も重視している」とテックスターズ・ミュージックのマネージングディレクターを務めるボブ・“モズ”・モジドロウスキーは話す。
「グローバル性も必要だ。我々の資金の約半分はアメリカ国外からの投資で成り立っている。音楽業界と投資家の両方から見過ごされてきたマーケットが今、大きな成長を遂げている」
スタートアップ10社は2月上旬から13週間、ロサンゼルスのテックスターズ・ミュージックの施設に活動拠点を移し、音楽、メディア、テクノロジー、VCなどさまざまな業界の幹部約300人から指導を受ける機会を与えられるほか、各12万ドル(約1300万円)の出資を受ける。
資金の出どころは、ワーナ・ミュージック・グループ、ソニー・ミュージック・エンタテインメント、レコチョク、Silva Artist Management(アーティストマネジメント)、Q Prime(アーティストマネジメント)、Harmonix Music Systems(音楽系ゲーム開発)、Bill Silva Entertainment(興行・アーティストマネジメント)、Royalty Exchange(オンライン著作権売買)、Concord Music(音楽レーベル)からなるテックスターズ・ミュージックのパートナー企業だ。
「AI作曲」に特化した企業も
昨年実施された第1回のアクセラレーター・プログラムには、11のスタートアップが参加した。11社が参加前に資金調達していた総額は1050万ドル(約11.4億円)。それが3ヶ月のプログラムを経て2550万ドル(約27.8億円)に急増した。モジドロウスキーによれば、VCの間で音楽ビジネスへの関心が高まっており、「その背景には、ストリーミングへの移行による収益増や、メディア全般におけるAI・ブロックチェーン技術の進歩がある」と言う。
確かに第1回の参加社の中でも、AI関連のスタートアップの活躍は目覚ましい。AIによる作曲システムを提供する「Amper Music」は大きな話題を呼び、創業者のドリュー・シルヴァースタインは今年のフォーブスの「30アンダー30:音楽部門」の一人に名を連ねた。フォーブスではまた、音楽のテンポを変えるアプリを開発した「Weav Music」にも注目し、紹介記事を掲載している。