──企業がCVC(コーポレートべンチャーキャピタル)を組成し、スタートアップに投資する動きがここ数年で加速しています。CVCの考えはなかったのでしょうか?
林:BAYSTARS Sports Acceleratorではもちろん、ベンチャー企業・スタートアップに出資する選択肢も用意していますが、出資することが必ずしもゴールだとは思っていません。スポーツ産業を生み出し、拡げ、根付かせていくことがこの取り組みのゴールなので、お金を出すだけでなく、我々が提供できるアセットを活用していただきながら、一緒にスポーツ産業を生み出していきたい。最初からCVCの考えはありませんでした。
──発表された内容で面白いと思ったのが、特にプログラムの期間が決まっていない、という点でした。アクセラレータプログラムはメンタリング、開発、プロダクト発表などのスケジュールが最初から設定されているのが一般的です。
林:ガチガチのスケジュールを組むことによって、一定の品質を保てていないものが生まれてきてしまうのではないか。そんな考えもあったので、締め切りなどは設けず、スケジュールに幅を持たせています。
6つの募集テーマに対し、合計50件以上の応募
──昨年12月から募集を始め、2月にはプログラムを開始するとのことでした。実際のところ、どれくらいの応募が来ているのでしょうか?
林:今回、1. スポーツ観戦体験、2. ファン層の拡大&満足度向上、3. スポンサー企業への提供価値、4. 物販・飲食サービス、5. スポーツ技術、6. 新たなスポーツ分野、という6つのテーマで募集をかけることにしました。
12月19日から第一期の募集を開始し、2018年1月16日に応募を締め切ったのですが、最終的に同一企業による別テーマへの応募も含めて50件以上の応募がありました。応募内容を見た個人的な印象としては、ファン層の拡大と満足度向上に関する応募が多かった気がします。多分、イメージが湧きやすかったんじゃないですかね。
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──50件以上の応募があったわけですが、今後プログラムを開始するにあたって、採択する企業はどれくらい絞り込む予定ですか?
林:今回は採択する企業数も一切決めずにやっていこうと思っています。数字を設けてしまうと、その数字に向けて絞り込みを行ってしまったり、逆も然りで応募の数が少ないときも仕方なくその数字に合わせにいったりしてしまうかもしれない。
きちんと一つひとつの応募内容を精査し、是々非々で判断する。結果的に多ければ良いですし、絞り込まれて少なくなっても構わない。数合わせのようなことはしません。
──スポーツ産業を根付かせることも考えて、きちんとしたものを世の中に出していくと。
林:そうですね。我々が提供できるアセットとして、横浜DeNAベイスターズが保有する様々なデータ、横浜スタジアム等における実証実験の機会、横浜DeNAベイスターズが持つスポーツ業界でのネットワーク、ワークスペースなどを用意しているのですが、実際に出てきた提案に沿って適切なアセットを提供しようと思っています。
あらかじめ、「この情報はオープンにします」というよりも、各企業の提案内容を見て、どのアセットを提供すればビジネスとしてスケールしそうか、を個別に判断してデータなどを提供していきたいです。