食事は、朝は自宅で摂るとしても、昼夜外食することは可能だし、一般の人でさえ昼夜が外の人も多い。1年で考えても700回以上外食できる勘定となる。逆に美容師が1年に700回も髪の毛をカットするのは物理的に不可能であり、外の世界を客観的に見ることがないまま数年過ぎてしまうのである。そうなると他のお店を見てみようかというモチベーションは上がらない。
さらに、料理人はチームで同じ料理をたくさんつくることがあるのに対し、美容師はあくまで個人プレイで、お客様とも個別対応となってしまう。組織型の料理人チームに対し、個人型の美容師なので、転職にいい情報の共有が少ないのも弊害となっている。
化粧品売り場で働く美容部員は比較的転職も多く、求人サイトにも動きはあるが、これも個人プレーヤーであるので、いい転職先は自分で見つけるしかない。このときに、以前シャネルにいたのを自慢して資生堂で勤務するなんてことも考えにくい。
SNSが突破口になる?
働き方改革が謳われ、女性の多い美容業界でも風通しは次第によくなってきてはいる。とはいえ、零細企業が大多数の美容室や理容室、ネイルサロンなどは改革どころか、毎日が必死の状態である。まわりを見る余裕があり、転職情報交換の余裕がある業態は少ない。
余裕がないなかでも、ノルマのつきまとう個人プレー型より、レストラン経営型であるチームワーク型にしたら、人材交流は発展するかもしれない。レストラン型組織経営なんて経営戦略でもつくったら、業界内の人材もいまより発展するかもしれない。
先日、外国人の友人と人材交流や転職についての話をしていて、面白いことに気づかされた。アジア各国で仕事をしているアメリカ人の女性だが、日本と韓国の女性のSNSの使い方が、まったく違うと言って驚いていた。
彼女によれば、LINEやフェイスブックなどのSNSを、ほとんどの国の女性はまだ会ったことのない人とも繋がったりして、新しい情報をそこから拾ったりして仕事に活用しているのに対し、日本と韓国の女性はSNSを仲間内の交流サイトとして使っており、ひたすら内向きな使い方をすると指摘していた。
その結果、SNSの友達との情報のやりとりだけに敏感になり、外で起こっている事を他人事のように扱い、見識を広げていかないと言っていた。確かに周りにはそのような使い方をする女性が圧倒的に多く、これを転職のために使ったら、もう少し美容業界もオープンな感じになるのではないかと思っている。