トランプ氏が大統領就任の翌日、「私は今もメディアと戦争している」と表明してから1年。この間、単独の記者会見はわずか1回(オバマ前大統領は11回)。ただし、約4700万人がフォローするツイッターによる情報発信は毎日続けられ、時にはホワイトハウスの正式発表や見解なくして、外交を左右する重大発言もある。
ワシントン・ポスト紙によると、トランプ氏は政権発足から1年間でついたうそや誤解を招く主張は2140件。一方、トランプ氏の支持者の大半が「メディアは反トランプに偏向している」とみている。AP通信は1月、米国人はトランプ政権下で「事実や真実」について困惑していると報道した。
トランプ大統領は2期目も視野に
米国では11月、トランプ政権への審判となる中間選挙が行われる。野党の民主党が上院か下院、あるいはその両方で多数派となれば、トランプ氏の政権運営は苦しいものとなる。
選挙の行方を占うひとつの前兆は、昨年12月に実施された保守王国のアラバマ州上院補選で、わいせつ疑惑が浮上した共和党候補が敗れたことだ。この流れは現在、セクハラを告発する「Metoo(私も)運動」に拡大し、国際社会でも大きな力を持つようになった。
メディアがトランプ氏の無視する「ポリティカル・コレクトネス(性・民族・宗教による差別や偏見、社会制度・言語表現を是正すべきとする考え方)」を「反トランプ」の原動力とする世論の形成に成功すれば、同氏は手痛い「不信任」を突きつけられるかもしれない。
逆に、メディアがトランプ氏の言動に右往左往し、同じ土俵でスキャンダルを追い求めるだけだと、大統領選の二の舞になる可能性がある。中間選挙で共和党が勝利すれば、トランプ大統領は2期目も視野に入ってくる。