政府の関与は、以下の3つの領域でより顕在化するだろう。
国有企業
習近平国家主席は、民営企業の成長や市場経済よりも、国有企業改革を重視している。民間資本が政府関連の企業をサポートすることで、国有企業はより力を増している。民営企業より国有企業が強ければ、政府は経済成長への影響力を維持でき、電力、石油、鉄道、通信セクターなどの領域を独占できる。中国の国有企業は、一帯一路戦略関連を中心に、海外M&Aを加速させることも期待されている。
金融マーケット
習近平政権は金融マーケットに大きく干渉している。最大の例は、2015年の株式市場急落局面だ。中国当局は株式を買い、資金を注入し、主要企業の株の売却を禁止するなどして事態の収拾に乗り出した。株価が急落すると取引を停止するサーキットブレーカー制度もある。政府の干渉は不動産マーケットにも及び、不動産価格の上昇や下落が許容範囲を超えると、地方政府は売買を規制する。
中国経済における金融リスクはなお高い。政府は2018年も損失防止へ強い役割を果たすことが期待される。今年の重要な目標の一つは、金融改革よりは金融安定の維持になるだろう。
資本規制と為替
中国は人民元国際化のステップとして、2015年に為替の自由化に着手した。しかし昨年、中国人民銀行はその流れに逆行し、元の中心レート設定で「反循環的要因」を加える方針を発表した。この数年縮小傾向にあった資本規制は、人民元の価値を維持するという大義名分の下、2016年末に強化された。
この種の規制は、海外直接投資の制限にまで広がっている。経済成長の鈍化や企業セクターの債務の高止まりに直面し、当局が2018年も為替レートコントロールや資本規制を強化するのは間違いないだろう。
2018年も国の経済への関与は続く。それは経済安定には寄与するだろうが、市場改革、成長、国際化は犠牲になるかもしれない。