ビジネス

2018.01.15 08:00

なぜショッピングモール運営者は、「地域密着型財団」をつくったのか


──なるほど。地域貢献への志には、その由来があったのですね。

はい。ショッピングモールといえば、屋上までビッシリと駐車場を整備するのが普通なのかもしれません。私たちは地域の方々、特にお子さん方にも楽しんでいただけるよう、屋上庭園を築いたり、他にもイベントを行えるスペースを用意したり、といった展開をしてきました。先ほど申し上げた、Bearsでのチャリティーコンサート支援もこうした流れのなかでのことなのです。
 


そんな折、地域医療に従事する夫が、徐々に「地域の課題」に気づいていったんです。患者さんのなかには、ひとり親のお子さんもいれば、高齢者の方もいて、ときには経済的に苦しい方々もいらっしゃる。その背景には、貧困の連鎖など、医療の現場で診察するだけではなかなか解決できない課題があることに私たちは思いを致すようになっていきました。

医療現場と、行政の支援との隙間をどうすることもできない。そういう方々のために、何か自分たちにできることはないだろうか、と。

──そこで「ファミリー財団」へ、という新たな一歩を踏み出された、と。

知人の方から「ファミリー財団」というやり方があると伺ったときには、嬉しい衝撃がありました。NPO法人を設立して、という思いもなかったわけではないのですが、私たちには地域のさまざまな課題に対応するノウハウがあるわけではなく、二の足を踏んでいたんです。そのときに、財団法人が簡単につくれるようになり、そして「ファミリー財団」という支援の仕方に出会った。本当に、一気にハードルが下がったんです。

それぞれの専門分野ですでに充実した活動をされている団体さんを、私たちがサポートさせていただく。これならば、私たちなりの地域貢献ができるのではないかと思い、熊西財団の設立に至りました。

──まさに、新しい時代の地域貢献のあり方ですね。

まだまだ規模は小さいのですが、公益財団という形でいろいろな団体さんを支援させていただき、私と夫だけではなかなかお手伝いできない、“その先”でお困りでいらっしゃる方々のお手伝いをできている、という実感があります。これからも徐々にネットワークを広げ、規模を拡大していければと、考えているところです。

文 = 宮田文久

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