ディズニーは「スター・ウォーズ」の家族のドラマをどう描くのか?

(Photo by Jesse Grant/Getty Images for Disney)

「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」が絶好調のようだ。12月15日に封切られたが、全国377館、937スクリーンでの公開。大手の映画会社がメジャー作品の基準値としているのが300スクリーン前後での公開だから、その3倍以上の数字だ。

公開当日、都内の繁華街にあるシネコンを覗いてみたが、全スクリーンの約半数でこの作品が上映されており、劇場にはコスプレをして観賞にきた熱狂的ファンも数多く見受けられた。

公開週の土日週末2日間での観客動員数も73万7467人、興行収入は11億2580万円を記録した。これは最終興収116.3億円をあげた前作「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015年)の興収比で90.4%だが、「フォースの覚醒」が10年ぶりに公開された待ちに待ったシリーズ第7作だったということを考慮すれば、悪い数字ではない。

もちろん、この成績はクリスマスシーズンの話題作が並ぶなかで、「映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活」を抑えて、堂々の第1位だ(ちなみに前作「フォースの覚醒」は公開時に動員数では「妖怪ウォッチ」の前作の後塵を拝している)。

アメリカでも日本と同じ12月15日から公開され、週末3日間で約2億2000万ドルの興収を上げ、次位にダブルスコアの大差をつけて興行成績のトップに輝いている。この数字は約2億4700万ドルの「フォースの覚醒」に次ぐ週末興行成績の歴代第2位に相当する数字で、「スター・ウォーズ」でワンツーフィニッシュを飾ったことになる。

さて、ご存知のように、今回の「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」は、物語的には「エピソード8」に当たり、実写映画本編としても第8作目となる。「スター・ウォーズ」シリーズは、1977年に第1作の「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」が公開され、その後「5」(80年)、「6」(83年)、「1」(99年)、「2」(02年)、「3」(05年)と製作されてきた。「4」から始まったのは、シリーズの最初の作品として興行的に失敗することが許されなかったため、スペクタクルなシーンが多い「4」からスタートしたと言われている。

第1作の「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」は、当初アメリカ公開時のタイトルは単に「Star Wars」で、日本でのタイトルもそれに倣い「スター・ウォーズ」だった。(「A New Hope(新たなる希望)」というサブタイトルが公式につけられたのは、80年の「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」公開前のリバイバル上映から)。

その第1作「Star Wars」の監督であり、シリーズの生みの親でもあるジョージ・ルーカスは、フランシス・フォード・コッポラの知遇を得たことで、彼の会社で長編第1作「THX 1138」を監督、その後、自らの映画製作会社「ルーカスフィルム」を立ち上げ、ヒット作「アメリカン・グラフィティ」製作・監督する。

「アメリカン・グラフィティ」は、ジョージ・ルーカスの育ったカリフォルニアの田舎町が舞台で、彼の高校時代の体験をもとに描かれた青春映画の傑作。故郷の町からの旅立ちを控えた或る一夜から翌朝までの出来事が、50年代&60年代のヒット曲をバックに描かれる群像劇で、自分もずいぶんと劇場に通い何回も繰り返し観た記憶がある。
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文=稲垣伸寿

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