世界最大のエンタメ帝国であるディズニーは今後、映像ストリーミング分野でネットフリックスやアマゾンに、真っ向から対立することになる。ディズニーCEOのボブ・アイガーは今年8月、スポーツ番組に特化したESPNの動画ストリーミングサービスの2018年の立ち上げを宣言。さらに、Disney TVのストリーミングを2019年に始動すると述べた。ディズニーは自社のストリーミングの立ち上げと同時に、ネットフリックスへの新作コンテンツの提供を停止する。
つまり、今後は「トイ・ストーリー」や「アナと雪の女王」の最新作は、米国ではディズニーのストリーミング限定の配信となる。フォックスの買収により、ディズニーはさらに潤沢なコンテンツを手に入れる。「アバター」や「猿の惑星」「X-Men」シリーズ等が放映可能になる。ディズニーは既にピクサーのアニメスタジオやマーベル、ルーカスフィルムを傘下に持っている。
さらに今回の買収により、ディズニーのHuluの持ち数比率は60%になり支配権を獲得する。Hulu にはエミー賞作品のドラマ「The Handmaid’s Tale/侍女の物語」のような成人向け作品が多数あり、ディズニーにはファミリー向けコンテンツに強い。そして、ESPN Plusはスポーツ番組に強みを持つ。
また、「ザ・シンプソンズ」やNBCの「THIS IS US 36歳、これから」、ABCの「モダン・ファミリー」等の人気作品もディズニーのラインナップに加わる。
一方で、ネットフリックスもコンテンツ向けの投資を活性化させており、2017年には60億ドルをコンテンツ制作や配信権の取得に投じた。アマゾンも45億ドルをコンテンツに支払ったとされており、アマゾンプライムの視聴者は8000万人以上にのぼる。
ネットフリックスとアマゾンはオリジナルコンテンツの創出に注力しているが、果たしてどこまでの成果をあげられているかは、現時点では不明だ。質の高いオリジナル作品の製作には多大なコストを要する。
対するディズニーはスター・ウォーズやピクサーの作品等、人々が慣れ親しんできたコンテンツを豊富に抱えており、ネットフリックスやアマゾンには脅威といえる。ストリーミングという新たなプラットフォームでの戦いがどこに向かうのか。今後の動向が大いに楽しみだ。