ただし、ofoをはじめ「LimeBike」や「Zagster」といった自転車シェアサービスには難題が待ち構えている。シカゴでは私営の自転車シェアサービスは認可されておらず、現時点では違法状態なのだ。
指定の駐輪スペースを持たないドッグレス形式で運営される、これらのサービスには様々な懸念も浮上している。好きな場所に自転車を乗り捨てできるofoのような自転車シェアは、都市の秩序を乱す恐れがある。
また、シカゴには公営の自転車レンタルの「Divvy」があり、民間企業に公共サービスが駆逐される恐れがある。シアトルでは市が運営するドッグ形式の自転車シェア「Pronto」が不人気で閉鎖され、代わりにLimeBikeを導入することが決まった。Divvyは専用の駐輪ドッグを用いるサービスで、利便性は低く料金も高いため、ofoやLimeBikeとの競争で不利になるのは明らかだ。
北京で展開中のofo (Photo by Yuji Ueda)
さらに、公益性の観点から考えてofoのような民間企業の進出を許すべきではないという議論もある。ofoやLimeBikeのような私企業に市場を独占させると、将来的にはシカゴの貧しい人々が不利になるという主張だ。
しかし、彼らの主張は間違っている。公営サービスであるDivvyの提供エリアはシカゴでも恵まれた層が暮らす北部に集中しており、貧しい人々が多く犯罪の発生率も高いサウスサイドでのアクセスは限られている。地元メディアのChicago Readerもこの問題を指摘し、Divvyの料金の高さも利用の妨げになっていると述べた。
Divvyは一日乗り放題パスが9.95ドルで提供されているのみで、1回の利用に限定した安価なプランもない。その一方、ofoやLimeBikeは時間あたりの利用料が1ドル以下という価格設定だ。
つまり、シカゴのサウスサイドでの普及を考えた場合、民営のofoやLimeBikeが勝者となるのは明らかだ。ドッグレス形式で運営される彼らのサービスは設備投資が少なくて済むため、価格を安く抑えられる。ofoがサウスサイドから取り組みをはじめたのは自然な流れといえる。シカゴの規制当局が、今後どういう対応をとるかが楽しみだ。