その一人だったジャン・ミンチョン(蒋旻宸)は、2013年にコアな自転車乗りをターゲットとした企業「行者(Xing Zhe)」を立ち上げた。
中国の大学でエンジニアリングを専攻したジャンは、英国の大学院でソフトウエアを学び、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで働いた経歴を持つ。現在31歳のジャンは、「2013年当時はサイクリスト向けアプリは中国に少なかった。本気の自転車乗りたちは、サイクリングコンピューターで自分の走行を記録し、スクリーンショットを趣味のコミュニティーでシェアしていた」と振り返る。
ジャンは自転車乗りたちがデータをシェアできるオンラインコミュニティーの構築に乗り出した。彼はスマホの自転車アプリの限界も感じていた。
「スマホのアプリは端末に依存するため、ハードウエアに起因する弱点を免れない。スマホの画面は太陽の下では見にくいし、古いスマホはバッテリーが持たない」
彼はその解決策としてサイクリング専用コンピュータの「Xoss Sprint」を開発した。「このデバイスは自転車の走行ルートを記録し、データはアプリでシェアすることも可能だ。Xoss Sprintはアプリに置き換わるものではなく、お互いに補完し合うものだ」
中国の多くのスタートアップと同様に、ジャンたちもクラウドファンディングで資金を募り、目標額の10万ドルを数日で調達した。
ジャンは、Sprintの欧米展開も描いている。行者のアプリは現状、中国のソーシャルメディア向けに特化しており海外では展開しにくいが、今後、アプリを北米市場向けに改良していく予定だ。
「より快適なユーザー体験を提供し、世界のサイクリングコミュニティーに貢献したい」とジャンは語った。