好きなことに「夢中でいつづける」ためにしている工夫、努力とは? 没頭しながらも、専門外との接触も大事にしている二人の対談、後編(前編はこちら>>)。
死ぬ直前までプログラムを書いていたい
羽田野太巳(以下、羽田野):子ども時代を振り返ると、なにかにハマったときに「やめなさい」と言われたことがありません。止められなかったから、どれだけでもやれました。中学生のときにはプラモデルにハマって、「プロモデラー」という職業につきたかったほどです。高校に入ってからは、さすがに危機感が芽生え、勉強に没頭し始めましたが(笑)。
下農淳司(以下、下農):私が中学生のころ、親がPC-98を買って仕事やゲームをしたりしていたんですよね。それで親からゲームを渡されたのですが、不思議なことにゲームをするのではなく、ゲームを作ることに興味を持ちました。中高一貫校だったのですが、中学の後半から無線部と合併した放送部に入り、高校の時には省電力FMを学校内で飛ばしたりしていました。
羽田野:私が在籍していたNTTでは、エンジニアとして人並みに昇進できるし、給料もそれなりに上がり安定していくのですが、業務は上に行けば行くほど管理業務に変わっていくんです。そんな中で僕は、30歳を超えたころ、エンジニアとしての腕が衰えていくという危機感を持ち始めたんです。
その頃、NTTぷららというベンチャー企業への出向が決まりました。それまでは大企業の中の歯車のひとつでしたが、ベンチャーのぷららでは、エンジニアであっても企画など様々な仕事をやらなくてはなりませんでした。でも、それがとても刺激的だったのです。
外の人と接する機会が多かったのですが、ずっと同じ会社に勤めている人はほとんどいなかったので、「一生同じ会社で働く」という価値観が崩壊しました。フリーランスの人も多く、刺激を受け、「リスクがあっても外に出よう」という気持が芽生え、独立することを決めたんです。
僕は死ぬ直前まで活動したいし、プログラムを書いていたい。そのためには、情報収集が大切だと思っています。さらっと流れてきた情報の中に宝が見つかるので、とにかく情報は浴びるだけ浴びます。忙しくても毎朝、最低1時間、自分の分野だけでなく広めに情報を取得します。技術に関しては専門家の人たちのフェイスブックのタイムラインを見ていますが、内容は業界紙より濃くて充実しています。
下農:私も同じです! フェイスブックのタイムラインを見て勉強しています。他には電気分野ではEETimesなどのサイトのヘッドラインだけでも見ます。それが、メーカーの人と話したときに役に立つことがあるからです。
私も羽田野さんと同じで、ずっと天文の装置開発を続けたいと思っています。望遠鏡自体も多数の部品の自立制御や全自動観測などを実現する方向になりつつあって、そういうのも面白いと思っています。やっぱり、新しい技術を作るのが好きなんです。死ぬまで新しいものを作りつづけたいです。