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2017.09.21

メディアが報じる「不動産バブル崩壊」という嘘

豊洲のタワーマンション群(slyellow / Shutterstock.com)


発売戸数が少ないのは、市場動向を伺いつつ、事業ポートフォリオの一部にすぎない新築マンションについて、体力のある大手が供給調整を行っている、というのが実態だ。こうした弾力性のある市場では、北朝鮮有事や世界的な経済・金融危機、大規模な災害や極端な金利上昇でも起きない限り、大きく崩れることはないだろうし、このような事態が発生した場合には、なにも都心湾岸タワーマンションだけが影響を受ける話でもない。

そもそも「バブル」という言葉の定義が曖昧なまま、様々な情報が流布されていることも問題だ。一部メディアなどでは「湾岸タワーマンションは現行の坪300万円台から100万円台に下落する」といった情報を垂れ流しているが、そこには根拠が皆無である。

不動産市場でいうバブルとは「理論価格を遥かに超えたところで取引が行われている状態」を指すが、不動産価格の裏付けは「賃料」である。300万円台から100万円台へと3分の1程度に落ちるためには、投資家が求める期待利回りが現在と同水準と仮定した場合、賃料も3分の1に下がる必要があるが、資産価格より数段硬直性のある賃料が3分の1に下がる可能性はほぼゼロであると考えられ、100万円台になる可能性も、ない。

新築も中古も都心不動産市場は、価格調整が行われている局面であり、到底バブルとはいえないし、したがって大きく崩壊することもできない。一部メディアが煽るようなイメージより、都心不動産市場はもっと落ち着いている。

文=長嶋 修

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