ビジネス

2017.08.05 12:00

テスラCEOが「ジョブズ化している」と見る理由

テスラのイーロン・マスクCEO(Photo by Mike Windle/Getty Images)

テスラのイーロン・マスクCEO(Photo by Mike Windle/Getty Images)

米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスクCEOは、アップルの共同創業者故スティーブ・ジョブズと同様に「現実歪曲フィールド」における支配的立場を確立しているのだろうか。

歴史に残るようなさまざまな話を掲載するウェブサイト「フォークロア(folklore.org)」によると、「現実歪曲フィールド」はアップルのエンジニアだったバド・トリブルが1981年、ジョブズについて語る中で用いた言葉だ。もともとは映画「スタートレック」に出てきたものだという。

ジョブズは人々が持っている感覚に明らかに矛盾する事柄でも、そうではないと信じさせることに秀でていた。「…彼のいる場所では、現実も(別のものに)変わる。彼は誰でも、ほぼ何についてでも説得することができた」

また、マッキントッシュの開発メンバーだったアンディ・ハーツフェルドによれば、「現実歪曲フィールドはカリスマ性のある話し方や不屈の精神、今掲げている目標のためには喜んでどのような事実も曲げてしまおうとする熱意が混ぜ合わさってできたもの」だ。

ではマスクは一体どのようにして、現実歪曲フィールドの支配的立場を獲得したのだろうか。それを説明するのに最適な数字が、先ごろ発表されたテスラの決算結果だろう。

テスラは損失を計上しながらも株価を上げてきた。今年第2四半期(4~6月)のフリーキャッシュフロー(純現金収支)はおよそ15億ドル(約1650億円)の赤字だ。だが、米ウォールストリート・ジャーナルによれば、同社の株価は今年に入り、50%を超える上昇を記録。時価総額は米自動車大手フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)を超えている。

一方、発売したばかりの新型「モデル3」の販売に関するマスクの発言は、投資家たちの心に大きな影響を与えたと見られる。マスクは8月2日、モデル3がより高額な既存モデルとの「共食い」現象を起こさない証拠として、次のような点を挙げた。

セダンの「モデルS」とSUVの「モデルX」の週当たりの注文台数は7月中、第2四半期中の平均を15%上回り、モデル3の最初の30台の納車を開始して以降もモデルSの注文はさらに増えた──。
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編集=木内涼子

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