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ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist

ゲイツ夫妻(Photo by Frederic Stevens/Getty Images)

米国で新たな寄付のトレンドが生まれている。世界的哲学者のピーター・シンガー米プリンストン大学教授による「効果的な利他主義」のムーブメントだ。『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』の著者でもある同教授に話を聞いた。

──「効果的な利他主義」とは何ですか。

「利他主義」とは、自分自身の関心を追い求めるだけでなく、世界全体をより良くするために何ができるかを考えることだ。だが、それ以外は考えない「聖人」のムーブメントではなく、より良い世界を求めて貢献することを人生の重要な目標として掲げるムーブメントだ。

次に「効果的」というのは、非営利団体(NPO)でボランティア活動をしたり、慈善団体に寄付をしたりする際、自分の時間やお金を使って最大限の変化を生み出すよう心がけることだ。どの団体に時間やお金を使えば最も効果的に最もいいことができるのかを調べる必要がある。

──「効果的な利他主義」を説いた2013年のTEDトークや15年の著書の出版に対し、どのような反響がありましたか。

とてもポジティブな反響があった。同様のアイデアを温めていた人もいた。13年以降、効果的な利他主義に関する本を出したり講演を行ったりする人たちが現れ、ムーブメントは一気に広まった。より多くの国で、より多くの人たちが関心を持ち始め、この考えを広めるための団体や研究所も生まれている。

一方、慈善活動の「効果」を示す強固な証拠の挙げ方について批判的な声もあった。このムーブメントは、寒村に蚊帳を贈るなど、小規模の介入には適しているが、国全体や世界規模の体系的で大きな変革には向かない、といったものだ。

たとえば、子供たちがマラリアで命を落とすような村に蚊帳を寄付した場合、蚊帳のない村との「無作為化比較試験」により、その効果がわかる。蚊帳のない村で、より多くの子供たちが死んでいるかどうかを調べ、(蚊帳で)救われた子供一人につきコストがどれだけかかっているかを計算すれば、慈善の効果がわかる。

だが、政策変更といった大きな変化を目指す場合、成功するか否かを見極めるのは至難の業だ。(政策変更という)一度限りの出来事に無作為化比較試験は通用しない。成功すれば、大きな変化を起こせるかもしれないが、効果的な利他主義が寄与できる余地は少ない。

とはいえ、大成功を収められるチャンスが少しでもあれば、小さな成功を収めるチャンスが大いにある場合と同様にサポートしていくのが、効果的な利他主義だ。

──ムーブメントがある段階に達したら拡大が加速すると、著書にあります。

効果を証明できる組織にしか人々が寄付しないことがわかれば、慈善団体は効果を調べるべく調査し、情報を出すようになるからだ。倫理的な生き方をめぐる人々の考えを変えられるかどうかがカギだ。

文=肥田美佐子

 

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