ガソリンエンジンと電気モーターの両方で走るレスポンダーは、発進時にモーターを使うことで素早い加速が可能。「犯人」らを追跡する際の利点は非常に大きい。一方、何時間も街角をパトロールする際に環境に与える害は少なく抑えることができる。
レスポンダーは、フォードの中型セダン「フュージョン」を改造したもので、「市街地」と「高速道路」を走行時の燃費は38mpg(16.1km/L)。現在利用されているパトカー、3.7リットルV型6気筒エンジン搭載の「ポリス・インターセプター」の燃費が18 mpgであることから、燃費の大幅な向上を実現することになる。
フォードによると、レスポンダーの導入によって各自治体はパトカー1台当たりのガソリン代を年間約3900ドル(約43万円)節約することができる。所有する台数が多い大都市の警察にとっては、数百万ドルの違いを生むことになるだろう。
また、フォードは新しいレスポンダーの価格を公表していないものの、多額のガソリン代を節約できることを考えれば、高額のハイブリッド車を購入しても一年程度で出費を回収できると説明している。
フォードは米国の警察が利用しているパトカーのうち、63%を供給。各地の警察が、レスポンダーにも高い関心を示しているという。
警察に「評価」を依頼
環境にやさしいパトカーを実現するため、フォードは開発中にも警察から意見を聞いた。レスポンダーを「追跡用」と呼べるかどうか、ミシガン州警察とロサンゼルス郡保安局に評価の実施も依頼した。
レスポンダーの最高速度は時速100マイル(約160km/h)。逃げ切れない者はいないと言い切ることはできないが、カーブの多い道も水がたまった交差点も、問題なく駆け抜けることができる。
最大の利点は、効率性の向上と経費節約が実現できることだろう。レスポンダーは高効率の2.0Lアトキンソンサイクルエンジンを採用、最新のリチウムイオン電池で動く電気モーターを搭載している。時速60マイルまではバッテリーだけで駆動するように設計されており、パフォーマンンスを最高レベルに引き上げることができるよう、自動的にエンジンとモーターを切り替える。