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2017.04.09 09:00

火星でも栽培可能な「イモ」 ペルーの科学者らが開発中

Nik Merkulov / Shutterstock.com

火星の過酷な環境でも育つ「ユニークな」ジャガイモの品種が割り出された。ペルーの国際イモ類研究センター(CIP)とNASA、そしてリマの工科大学(UTEC)が、火星で栄養価の高いジャガイモを育てるための共同研究を行い、二酸化酸素の濃度が高く気温が極めて低い環境下で最もよく育ったのが「ユニーク」という品種だったと発表した。

まるで映画のような話だ。アンディ・ウィアー原作の映画「オデッセイ」で、火星で生き延びるために主人公マーク・ワトニー(マット・デイモン)がジャガイモを栽培したシーンを思い出した人もいるだろう。

研究チームは、火星でジャガイモが栽培可能であるか調査し、過酷な環境でも育つ品種を作り出すために超小型人工衛星CubeSatに火星の環境を再現した実験室を作った。

「実験室の過酷な環境下で育つことができるなら、火星でも栽培できる可能性が高いと考えます。ジャガイモが育つための最低条件を模索しています」とSETI研究所の研究員で、現在UTECで実験に携わっているフリオ・バルディビア・シルバ(Julio Valdivia-Silva)は語る。

NASA エイムズ研究センターの研究者であるクリス・マッケイ(Chris McKay)によると、実験に使われている土はチリ南部の砂漠のもので、“地球上で手に入る最も火星の土に近い土壌”なのだという。

その土に植えられたジャガイモは密閉された実験室で育てられた。実験室内には栄養を豊富に含んだ水が供給され、火星の日中と夜間の気温や気圧、酸素と二酸化酸素の濃度が再現された。ライブストリーミングカメラを設置し、24時間監視を続けている。

CIPのワルテル・アモロス(Walter Amoros)によると、ジャガイモには過酷な環境に適応できる遺伝子的素質がある。CIPは以前、塩分を含む土でも育ち干ばつに強いジャガイモの品種改良に成功しており、この種類は今回の実験でも良い結果を出している。

極寒の気候に耐える「スーパーポテト」

「今回の実験結果は、気候変動の影響を受ける地域で食料を確保するための品種改良の努力が実を結んでいることを示しています」とアモロスは言う。

バルディビア・シルバはAP通信に対し、今回の実験で最も高い成果を上げた「ユニーク」は二酸化炭素濃度が高く極寒の火星の環境に耐えられる「スーパーポテト」だと語っている。今後はシミュレーターを3つに増やし、さらに二酸化炭素濃度を高めて火星の大気に近付けるという。

編集=上田裕資

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