名前が示すとおり、これは自分の知性について謙虚であり得る能力を持つ特性のことだ。また、自分の知っていることが実際に正しいのかどうか問いかけてみる能力であり、新たに得た情報に基づき、考え方を変える能力でもある。
知的謙虚さがある人は、うまく人間関係を築ける。さらに、私たちがなかなか考えを変えられない政治のような分野で活動する場合にも、大きな強みを持っているといえるだろう。
3つの調査結果が示す特徴
デューク大学心理・神経科学部のマーク・レアリー教授らが専門誌「Personality and Social Psychology Bulletin(人格・社会心理学紀要)」に発表した調査結果によれば、研究チームはこの特性がさまざまな種類の情報への反応にどのような影響を及ぼすか明らかにするため、複数の調査を実施した。
1. ある一定の宗教観を持った参加者に集まってもらい、基本的に彼らの考えには反する内容の文章を読んでもらった。その後、内容にどの程度同意できるか、どのような感想を持ったか、著者に対してどのような感情を持ったかを聞いた。
その結果、知的謙虚さの程度が低い人たちは、著者の「倫理観、誠実さ、能力、優しさ」に低い評価を与えた。一方、知的な謙虚さがある人たちは、著者の性格を批評しなかった。宗教に関する自分の考えの正しさについてはそれほど強く確信しておらず、自分の考えが他者よりも「優れている」と考える人も少なかった。
2. チームはその後、大抵の人が自分の考えが「正しい」と確信する傾向がある政治などの分野について調査した。新たに示された証拠に基づいて意見を変えることが多い候補者に投票する可能性について聞いたところ、興味深い結果が得られた。
知的謙虚さの程度が高い人に限ってみた場合、共和党支持の参加者の方が、意見の変遷によって支持の度合いが変わる可能性が低かった。民主党支持者は知的謙虚さのレベルにかかわらず全般的に、政治家の意見の変化を批判的に見る向きは目立たなかった。