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2017.04.02

韓国社会から消えない売春ビジネス 市場規模は「7000億円」

韓国ソウル市内にある売春宿のカラオケルーム (Photo by Jean Chung/Getty Images)

ウーバーのトラビス・カラニックCEOらの幹部が2014年、韓国ソウルの“女性が同伴するカラオケバー”を利用した疑いがあるとニュースサイトThe Informationが報じ、韓国の風俗事情に対する関心が高まった。

勤務時間後のつき合いが重視される韓国社会では、大量の焼酎を飲み風俗に行くことは珍しくない。上司と行けば昇進につながる可能性もあり、ビジネスマン同士が接待の一環としてトウミと呼ばれるカラオケコンパニオンを相手につけることもある。

韓国では既婚男性の半数が婚外セックスの経験を持ち、40%が買春を浮気のうちにカウントしていないとの報道もある。若い世代は風俗に行かない傾向もあるが、ロサンゼルスのコリアタウンでも同様のサービスが行われているとの説もあり、その人気は根強い。

韓国では2004年に売春が違法化されたが、その後も営業は続いており、最近まで会社の経費として計上する企業もあったほどだ。違法化される前の2002年、韓国の売春産業は24兆ウォン(約2兆4000億円)規模にまで成長し、農業や林業に迫るほど韓国経済に貢献していた。その金額は2010年には6.9兆ウォン(約6900億円)にまで減少したが、それでも巨額と言えるだろう。

カラオケに女性コンパニオンを派遣

韓国にはキスルームやホステスバーなど、セックスまで行かない性的サービスもある。“ノレバン”と呼ばれるカラオケボックスでは利用者の5人に1人がブローカーを通じて若い女性コンパニオンを派遣してもらっている。

ノレバンでは、10万~20万ウォン(約1~2万円)を払うと若い女性の派遣を依頼できる。カラオケボックスでは数時間にわたり飲んだり歌ったり女性を触ることもでき、その後は場所を移してセックスのサービスが提供される。

ウーバーの幹部らが訪れたとされるような店はソウルに3万2000店ほどあり、ずらりと並んだ女性の中からお気に入りの女性を選ぶ仕組みだ。気に入った女性がいなければ、また別の女性のチームが部屋に入ってくる。こういったサービスの人気は高く、不況の中でも新店舗がオープンするほどだ。

コンパニオンの収入は4~5時間で100ドル(約1万円)ほどと、最低賃金の5倍だ。コンパニオンを利用することについて道徳的呵責を感じる人は少ないが、売春婦に対する目は厳しく、労働には危険が伴う。

「合法化したほうがまし」との意見も

韓国では勤務時間後の宴会に参加しなかった場合は、昇進に影響したりビジネス契約が取れなかったりすることもある。飲み会が必ず買春につながるわけではないが、男性中心の職場では往々にして女性社員が飲み会から締め出されることが多く、女性の社会進出にも影響を及ぼしている。

政府は違法行為を抑制しようと取り組んでいるが、多くの店がサービスを続けている。取り締まりが行き届かない大きな背景には、あまりに巨大化した産業の規模がある。警察でも人手不足と言われるなか、一斉検挙を成功させるには産業に関わっている人が多すぎるというのだ。検挙された場合の罰則を差し引いてもおいしいビジネスであるということも、店舗が減らない理由にある。

売春はすでに定着しており、違法化して消滅を目指すよりも安全な労働環境を整備するために合法化した方がいいという主張もある。アメリカでは売春がビジネス上の付き合いとみなされることはないが、韓国では当面この状況が続きそうだ。

編集=上田裕資

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