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ロボットやIoTの専門メディア「ロボティア」代表

Bas Nastassia / Shutterstock.com

社会のいたるところで人工知能が活用されはじめている。大規模製造業の現場における製造工程管理、新薬開発、弁護士・税理士、および人事業務の一部代替など、すでに実用化されつつある応用例は枚挙にいとまがない。

それら人工知能を注意深く見て行くと、ひとつの共通点が浮かび上がる。いずれも、人間の「理性」を再現したものであるということだ。

世界的に有名なグーグルディープマインドの囲碁AI「alphaGo」やIBMの「ワトソン」も例にもれない。前者は、人間のトップ棋士を凌ぐ演算を瞬時に行い、盤面上の未来を見通そうとする。後者は、人間の言語や質問を理解し、事前に収集・インプットされた膨大なデータの中から最適な答えを導き出す。

主に人間の脳でいうところの前頭葉の働きを模倣して、理性を再現しようと開発されたそれら人工知能は、「問題解決型AI」とも呼ばれている。問題解決型AIは、人間が到底かなわない速度で資料やデータを読み込み、過去事例や経験を踏まえて、論理的に人間の判断を支援する。表現が正しいかどうかは定かではないが、非常に「客観的」かつ「即物的」な人工知能である。

一方、近年では人間の精神的な側面を支援する人工知能、すなわち「感性型AI」の研究が世界各国で進められている。

日本ですでに有名なのは、小説を書くAIプロジェクト「きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」だろう。プロジェクトを牽引する、公立はこだて未来大学・松原仁教授は言う。

「問題解決型AIは、人間の理性を再現したもの。さまざまなシーンで、理性はとても役に立ちます。多くの人は、理性を働かせてビジネスしたり、生活したりしますよね。そう考えると、人工知能で理性を再現することを優先するのは必然です。ただこの先、人工知能がロボットに搭載されて人間と付き合うようになる。そうすると、ロボットが感情を持つかどうかは別として、人間の感情を理解することが必要になってきます。人間の機嫌がいいのか悪いのか理解できなければ付き合えない。今回の小説プロジェクトは、そういうロボットと人間の感性が交わる時代の“象徴”として提起しました」

松原教授によれば、「小説AIはまだまだ発展段階」にあるそうだが、最終的には読み手個々人が好む作風の小説を生みだすことを目標にしているという。言い換えれば、「問題解決型AI」とは異なり、人工知能がいかに人間の「主観」もしくは「個人的趣向」により添えるかに、研究の焦点を当てていることになる。

感性型AIとは銘打っていないものの、韓国でも似たような研究が進んでいる。ソウル大学イ・ジュンファン博士らが開発をてがける人工知能「ロボット記者」がそれだ。

現在、海外各国の大手メディアでは、人工知能が自動で原稿を作成してくれる「ロボットジャーナリズム」をウェブ版などで試験的に導入しはじめているが、イ博士の研究もそれらの類似研究のひとつと言うことができる。イ博士が目標に掲げるのは、ユーザーの感情や状況を理解し、個人化された情報を瞬時に作成・提供できる人工知能を開発することだ。

文=河鐘基

 

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