パリコレ・モデルの「残虐な扱い」、関係者が告発 危険な行為を糾弾

photo by Anadolu Agency / gettyimages

3月7日まで開催の秋冬パリコレクションに登場するモデルのキャスティングを行った際、高級ブランドのバレンシアガがモデルたちを「残虐に」扱っていたとして、関係者から告発された。これを受け、「華やかな」ファッション業界で働くモデルたちの扱いに関する議論が再燃している。

バレンシアガは1日、建物内の薄暗い階段に150人以上のモデルたちを数時間にわたって待機させたまま、自分たちは昼食を取るために出かけていたキャスティング・ディレクターのメイダ・グレゴリ・ボニアとラミ・フェルナンデスを解雇。さらに、こうした扱いを受けたモデルたちの所属エージェンシーに書面で謝罪した。

この事実をインスタグラムで公表したのは、モデルたちがキャスティングの際に受ける「残虐で残酷」な虐待を糾弾してきた米国人のキャスティング・ディレクター、ジェームズ・スカリーだ。解雇された2人を「常習的な虐待者」と呼ぶスカリーは、モデルたちに対する今回の扱いを「危険な行為であり、多くの女性たちの心に傷を負わせた」と批判している。

一方、解雇されたメイダはスカリーの批判に対し、「事実とは異なり、名誉毀損(きそん)に当たる」と反論。キャスティングの際の環境が悪かったとして、バレンシアガを非難している。

批判は以前から

ショーのモデルに未成年者を採用していること、黒人モデルに対する差別があることなどについて、スカリーはその他のファッションブランドにも厳しい意見を述べている。これに対し、各社は反論したり、反対にスカリーを攻撃したりしてきた。だが、今回の暴露によって、頻繁に虐待され、減量を強要され、そして大抵の場合に「モノ」のように扱われるモデルたちの日常に関する「醜悪な現実」が再び明らかにされた。

英オンラインメディアのビジネス・オブ・ファッションによると、スカリーは今回の内部告発について、虐待がはびこるモデル業界においては「氷山の一角」だと指摘する。スカリーは以前、「今後もいじめや残酷な行為、差別が続くのであれば、そうした行動を取った人物や企業の名前をソーシャルメディアで公表する」と警告していた。

また、英紙テレグラフは、「ファッション業界は関係者と消費者の双方から、より幅広い多様性の実現や、若く傷つきやすいモデルたちに対する責任を負うことが一層強く求められるようになっている」「厳しい視線を注がれるようになっている中で起きたスキャンダルだ」と指摘している。
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編集 = 木内涼子

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