スイッチのローンチタイトルはゼルダで、一見すると華々しいのだが、新作が4本しかないことを考えると、ゼルダファンでなければスイッチを買わない可能性がある。しかし、ゼルダをプレイするために360ドルを支払うのは決して安い買い物ではない。
また、ゼルダのようなRPGのファン層は、任天堂のゲームで最も人気が高いマリオカートや大乱闘スマッシュブラザーズに比べると意外と少ない。
さらに「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」はWii U向けにも発売される。Wii Uは失敗に終わったとはいえ1,300万台が売れており、Wii Uユーザーはわざわざ360ドルを支払わなくてもゼルダをプレイすることができるのだ。
スマホゲームとの差別化はどうする
スイッチの問題は、ソフト面だけではない。任天堂は発表会でジョイコンを使って遊ぶ「ワン・ツー・スイッチ」や「ARMS」を紹介し、スイッチがWiiの後継モデルであることをアピールしていた。しかし、これらのゲームがWiiスポーツのようにゲームファン以外をも熱狂させることはできないだろう。また、ゲームファンにとっても、スイッチを選ばなくても、他に機能が優れたゲーム機はいくらでもある。
スイッチがWiiとWii Uや他のゲーム機に勝る点があるとしたら、それは持ち運びができる点だ。しかし、任天堂はプレゼンテーションにおいて、この点についてほとんど触れなかった。背景には任天堂のハンドヘルド戦略が不透明であることが挙げられる。
ゲーム機を携帯できるのは大きなメリットだが、今後スイッチが3DSに代わるハンドヘルド機となるのか、あるいは新たな機器をリリースするのかは不明だ。任天堂はこうした疑問に答えなかったばかりか、3DSの売れ行きに影響しないようにあえてスイッチの携帯性をアピールしなかったようにも見えた。
仮にスイッチが任天堂の次世代ハンドヘルド機であったとしたならば、今後はスマートフォンやタブレットとの棲み分けを明確にしなければならない。任天堂はスマホゲームにも進出しており、スイッチの購入を検討している人に対して、スイッチを選ぶメリットをしっかり説明できなければならない。しかし、任天堂は将来について明確な答えを持っていないようだ。