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2017.01.22

「エコ認定ワイン」の方が美味しいのか、専門家の評価は?

Photo by Rawpixel.com / Shutterstock, Inc.

いわゆる“エコラベル”とは、「企業と消費者の双方に、環境にやさしい行動をとるよう促すツール」の一つである――。

この前提に基づき、カリフォルニア大学のマガリ・A・デルマ、オリビエ・ガーゴードとジンウィ・リムは、仏ボルドーのKEDGEビジネススクールと共同でワインに関する研究を行った。オーガニックワインやバイオダイナミックワインなどのエコ認定ワインは、そうでないワインよりも美味しいのかどうか、という研究だ。


研究者によれば、エコ認定のワインには高い価格をつけることができるにもかかわらず、認定生産者の3分の2はエコラベルの使用申請をしないという。エコ認定されたワインの品質について、業界内で意見が分かれることや、消費者の間でも「環境にやさしい代わりに低品質なのではないか」という疑問が持たれていることが一因だという。

1998年から2009年の間にカリフォルニア州でエコ認定されたワイナリーの数は、10から57に増えた。エコ認定された同州のワイナリー所有者や経営者を対象に、研究者たちが調査を行ったところ、エコ認定ワインはそうでないワインよりも品質が高いという仮説に至った。そしてその後、ワイン専門家にも調査を行った。

研究では、ワイン・アドボケート(Wine Advocate)、ワイン・エンスージアスト(Wine Enthusiast)とワイン・スペクテーター(Wine Spectator)の3つのワイン格付け雑誌からデータを取り、1998年から2009年の間にカリフォルニア州で生産された7万4,148本のワインを調査対象とした。

そしてカリフォルニア州有機栽培農家とデメター協会のデータを基に、エコ認定を受けたワインとそうではないワインを選別。研究ではオーガニックワイン、バイオダイナミックワインと有機栽培のブドウでつくられたワインをエコ認定ワインとした。

アメリカでは、有機生産された原材料を95%以上含有するワインだけが、米農務省(USDA)の「オーガニック」シールを使用できる。全米オーガニック認定基準委員会は、有機農法は「添加物や代替品(種、植物、動物など)を使用しないこと。これには農薬や化学薬品、遺伝子組み換え製品が含まれるが、これに限定されるものではない」としている。

ワインに関するUSDAのオーガニック表示には2種類ある。自然発生する亜硫酸塩の含有量が10ppm未満の「オーガニックワイン」と、含有量制限のない「オーガニックのブドウでつくられたワイン」だ。バイオダイナミックワインは、デメター協会が独自に制定した基準下で認定される、全くの別物だ。
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編集=森 美歩

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