1. 笑顔を見せる
オバマ大統領は穏やかな笑みを満面にたたえ、さっそうとした足取りで登場、会場内全体を見回して聴衆とアイコンタクトを取った。研究結果によれば、スピーカーに対する聴衆の印象を決定付けるのは、最初の言葉を発する前、登壇からわずか数秒の間だという。
2. ユーモアを持つ
登場した大統領に対する拍手喝采は、なかなか鳴りやまなかった。オバマは笑顔で「テレビで生中継されているのだから、早く演説を始めなくては」と言ったが、それでも聴衆は席に着こうとしなかった。
「やはり私はレームダック(死に体)だね。誰も言うことを聞いてくれない」というオバマの言葉で、聴衆は笑い、ようやく着席した。
3. 自分に置き換える
素晴らしい演説には、聴衆に希望を持たせるような言葉がいくつも使われる。また、スピーカーの個人的な話も含まれる。大統領はこの日の演説の始めに、自らの過去を振り返ってこう語った。
「シカゴにやってきたとき、私はまだ20代前半で、自分自身がどのような人間なのか模索しているところだった。人生の目標を探していた…」
聴衆が最も大きな拍手を送った(そして、オバマが目に涙を浮かべた)のは、演説の後半、ミシェル夫人に心からの感謝の言葉を贈ったときだった。
「(シカゴの)サウスサイド出身のミシェル・ラヴォーン・ロビンソン…この25年間、あなたは私の妻であり、私の子供たちの母親であっただけでなく、私の一番の味方だった…ホワイトハウスを全ての人たちのものにしてくれた」
4. 技巧の活用
バラク・オバマの存在を全米に知らしめた2004年の民主党全国大会での演説から大統領としての最後の演説まで、オバマは伝統的な修辞的技巧を使いこなしてきた。この修辞技法は、コミュニケーションの力を反映するものだ。この技法が使われた次のような部分で聴衆が特に大きな拍手を送ったのは、偶然ではない。