米国のミレニアル世代の中には、副業に力を入れる世の中の流れに同調しないことで、アイデンティティー・クライシス(自己喪失)に陥る人も出てくるかもしれない。彼らは2008年に起きた金融危機によって生じた収入と支出の落差を埋めるために、新たな副業の在り方を確立してきた世代だ。
主な仕事以外にもパートタイムで働くというのは、不完全雇用の世代である彼らに特有のことではない。だが、従来の「副業」をより的を射た呼び方に名前を変えたのは彼らだ。ベビーブーマー世代も若いころからずっと、「ハッスル(頑張る)」してきた。だが、退屈で大変な2番目、3番目の仕事として、単に「副業」と呼んできた。
目的は収入以外にも
ビジネスニュースサイト「クオーツ(Quartz)」には、サイド・ハッスルについて次のように説明する記事が掲載されている。
「お金以上にも、何か価値のあるものを与えてくれる。人生に対して感じる行き詰まりや退屈さ、裏切られたような気持ちに対する防衛策だ。ミレニアル世代が副業にのめり込む本当の理由は、こうした心理的な利益なのだ・・・年齢に関わらず、読者の皆さんもこうした副業を持ちたいと考えるかもしれない」
「“25歳くらいの若者が人生の閉塞感や精彩が失われることについて、何を知っているというのだ?”と考える人もいるかもしれない。言い方を変えよう。“何でもなりたいものになれる”といって育てられ、そうした価値観を持った世代の人たちが、過去何年もなかったような最悪の求人市場に投げ込まれたら、どうなると思うだろうか」
重要なのはこの点だ。多くの人たちの夢が打ち砕かれたのだ。さらにもう一つ、この世代は圧倒されるような額の学生ローンという借金を背負っているという事実もある。