海藻産業は、まさに海藻のような勢いで成長している。調査会社9ディメン・リサーチが今年の夏に公表した「2016年世界商用海藻産業報告書」によると、同産業の年間成長率は8.9%で、市場規模は2024年までには220億ドル(約2兆5,000億円)に達すると見られている。現在、世界の主な海藻市場は中国、インドネシア、フィリピン、韓国、そして日本だ。
米国では、メーン州の採藻漁業が知名度を上げてきており、同州では2014年と2015年に「メーン州海藻フェスティバル」が開催されたほどだ。今年は開催されていないが、ホームページ上では次回の開催が約束されている。アラスカをはじめとする他州でも、実験的な海藻養殖が進められている。
だが海藻産業は、現段階で既に生みの苦しみを伴い始めている。メーン州では、採藻行為の権利をめぐって漁業従事者と水際の土地の所有者の間で対立が発生。また、採藻用の機械が出す騒音をめぐるトラブルも起きている。
一方、科学者は、海藻のさらなる活用法も発見している。乳牛が空気中に放つメタンガスは、温室効果ガスとしての破壊力が二酸化炭素(CO2)の25倍、あるいはそれ以上とも指摘されているが、オーストラリアの研究チームによると、羊や牛の餌に乾燥させた海藻を加えると、全世界のメタンガス排出量を50~70%削減できるのだという。
新たな海藻食品が市場にお目見えするのも、そう先の話ではないかも知れない。例えば、今年には、オレゴン州立大学の科学者が、20年間にわたり栽培に取り組んできた海藻の新たな品種を発表している。この海藻は、ベーコンの味がする上に栄養価も非常に高く、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、ヨウ素、カリウム、そして多くのタンパク質を含んでいるという。