そうはいっても、マジックワードが本当に課題解決のために機能するのでしょうか。それを確かめたくて、これまで数回ワークショップを実践しました。先日は「NHKに集まる社会課題をマジックワードカードで解決する」と題し、14年に「アイスバケツチャレンジ」で有名になった難病「ALS」の解決をテーマにしたワークショップをアカデミーヒルズ六本木ライブラリーで開催。
NHKのディレクター小国士朗さんにご協力いただき、「ALS」「アイスバケツチャレンジ」「尊厳死」「アイトラッキング」などALSに関するキーワードを選定。その言葉とマジックワードを組み合わせてソリューションを考える、という内容です。
ALSという難しい問題をテーマにして盛り上がるのか? 私自身やってみるまで不安しかありませんでしたが、その心配は杞憂に終わりました。たとえばあるグループからは「恋する愛トラッキング」というアイデアが。アイトラッキングという技術やALSの認知を広げるために某プロデューサーに曲を書いてもらい、売り上げを寄付するというアイデアです。ほかにもVR技術をつかって、動けないALS患者の方に旅行体験をプレゼントする「旅するALS」といった企画も。
たった30分という時間でしたが普通に考えていてもなかなか生まれてこないアイデアがたくさん生まれました。クリエイティブジャンプが必要とされている難題に向き合わなければいけないとき、強制的に予想外の言葉と言葉を組み合わせるマジックワードは、発想の飛躍をサポートするジャンプ台になるのだなと実感しました。
当日は学生から経営者まで、年齢も職業もバラバラの人たちが集まりました。立場やバックグラウンドが違う人たちが同じテーブルを囲むときに、ゲーム感覚で楽しめるカードがあると議論が盛り上がることも実感。
「ブレストでは他人のアイデアに便乗OK!」と言われますが、ファシリテーションの良し悪しでうまく盛り上がらないこともありますよね。カードに付箋を貼りながらアイデアに肉付けしていくことで、アイデアの成長過程が記録されて、アイデアをふくらませやすいのも、このカードの特徴のひとつです。