ビジネス

2016.10.06

日本におけるBoPビジネスのブームと現状、BoP1.0からBoP3.0へ

photo by Jonathan Torgovnik / gettyimages


BoP1.0からBoP3.0へBoPビジネスは進化してきている


経済産業省「平成27年度アジア産業基盤強化等事業(収益指向型BOPビジネス推進事業)最終報告書」より

これら3種類のBoPビジネスの内、企業にとって最も着手しやすいのは、BoP1.0だろう。携帯電話が普及し、都市部の情報が郊外や農村部にも伝わるようになってきた今、BoP層の中でも所得が高く、消費意欲が高い人々にアプローチすれば、人々の生活を豊かにすることができる。そういった意味では、決してBoP1.0を全面否定する必要はない。推進する企業によっては、現地の人々の生活向上に大きく寄与するビジネスモデルになりうると考えられる。 

しかし、このBoP1.0とBoP2.0やBoP3.0の間には大きな隔たりが存在すると考えられるし、実際にBoP Global Networkでも普及の対象としているのは、BoP2.0とBoP3.0のみである。

その理由としては、BoP1.0が既存の社会システムを前提として生まれたビジネスであり、他方でBoP2.0とBoP3.0が持続可能な社会の創造を前提としたビジネスであることがあげられる。

大量生産・大量消費による経済成長を是とした既存の社会システムは、すでに持続可能ではないことが明らかとなってきている。そして、持続可能な社会システムを地球全体で構築していくためには、人口としてマジョリティを占めるBoP層と、既存の社会システムが抱える問題について身をもって経験してきている先進国の人々が協力し合うことが必要である。共に「経済成長=環境保全」を実現する社会システムを創り上げていく必要がある。

「経済成長=環境破壊」から「経済成長=環境保全」へ


こうした観点から考えると、BoP2.0とBoP3.0は、未来をつくるビジネスだということができる。しかしながら、BoP2.0といった概念が普及し、それに取り組む企業と一緒に試行錯誤を繰り返していた結果、単一の企業や単一のビジネスでは、こうした新たな持続可能な社会システムを構築するには役不足であることも明らかとなってきている。

だからこそ、いまエコシステムの形成に重きを置いたBoP3.0の普及が求められているのである。次回は、BoP3.0の実例を紹介する。

文=平本督太郎

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