そのため、“通信簿”である財務パフォーマンスに加え、環境・社会・ガバナンスというESGパフォーマンスも評価指標を取り入れた。総合点で同点の場合は、企業の長期的価値という観点から見ると、企業価値全体の中に占める非財務的な価値が重要であることから、ESGパフォーマンスのギャップ点数が小さい企業を上位とした。そんな「日本を動かす経営者」BEST100のうち、本誌の発売に先駆けて上位10人を紹介する。
1位 渡邉光一郎/第一生命保険
--なぜ評価されたのか?
2016年3月期に保険料等収入で戦後初めて日本生命を上回り、5期連続で上場来最高の連結純利益を更新している。国内有数の生命保険会社として大きな期待が寄せられるなか、財務の健全性を保ちつつ安定的に収益をあげている点に経営戦略の妥当性と経営者の強い意志が感じられる。ガバナンスを積極的に強化し、独自のDSR経営による説明責任も十分に果たされており、経営品質向上への明確なこだわりを感じられる。
2位 北村 邦太郎 /三井住友トラスト・ホールディングス
--なぜ評価されたのか?
金融業界全般において存在感を発揮する「The Trust Bank」ブランドの確立に取り組んでおり、社会における強い存在感と業界のリーダーとしての自覚をもって経営がなされている。財務の健全性と資本効率との両立に取り組む。また持続的な成長に向け、経営の強いリーダーシップで戦略分野への資源配分とシナジーの追求がなされている。本業では戦略的なCSRの取り組みを進めており、社会の期待に応えている。
3位 宮永俊一/三菱重工業
--なぜ評価されたのか?
産業基盤を支える世界トップレベルのメーカーを目指し、グローバル市場での存在感を高めることに挑戦している。昨年度売上高は4兆円超、2017年までの中期経営計画では5兆円超の実現を目指す。組織体制改革を実施し、9つあった事業部門を4ドメインに再編、今年度からは複数製品の共通部分・エンジニアリング機能を集約した「エンジニアリング本部」を新設するなど、従来の枠組みに囚われない戦略と施策を推進中。
4位 中山讓治/第一三共
総合点:93.7
ギャップ:6.3
財務パフォーマンス:適正水準 34.0/現状水準 32.0
ESGパフォーマンス:適正水準 33.0/現状水準 34.7
5位 家次 恒/シスメックス
総合点:93.5
ギャップ:6.5
財務パフォーマンス:適正水準 31.0/現状水準 29.5
ESGパフォーマンス:適正水準 28.0/現状水準 24.0
6位 片野坂真哉/ANAホールディングス
総合点:93.0
ギャップ:7.0
財務パフォーマンス:適正水準 33.5/現状水準 34.0
ESGパフォーマンス:適正水準 33.0/現状水準 33.5
7位 手代木 功/塩野義製薬
総合点:93.0
ギャップ:7.0
財務パフォーマンス:適正水準 29.5/現状水準 32.0
ESGパフォーマンス:適正水準 30.0/現状水準 27.5
8位 平野信行/三菱UFJフィナンシャル・グループ
総合点:92.7
ギャップ:7.3
財務パフォーマンス:適正水準 32.7/現状水準 31.7
ESGパフォーマンス:適正水準 30.3/現状水準 28.0
9位 岡藤正広/伊藤忠商事
総合点:92.5
ギャップ:7.5
財務パフォーマンス:適正水準 34.0/現状水準 32.0
ESGパフォーマンス:適正水準 38.5/現状水準 30.0
10位 斉藤恭彦/信越化学工業
総合点:92.5
ギャップ:7.5
財務パフォーマンス:適正水準 23.0/現状水準 27.5
ESGパフォーマンス:適正水準 30.5/現状水準 27.5
【昨年の順位はこちら】「日本を動かす経営者」2015ランキング
「CEO RANKING 2016」選考方法
「フォーブス ジャパン」編集部が掲げる「日本を動かす経営者」を数多く生み出すという方針のもと、企業のIR活動を総合的に支援しているフィスコIRの協力を仰ぎ、「社長力」を点数化し、上位100人を選出。最初に「日本を動かす」というテーマに合う企業規模を持つ会社として時価総額を指標として上位100社を選定。次に、社長力の評価方法として、従来の財務情報を評価した「財務パフォーマンス」に加え、ESG(環境・社会・ガバナンス)といった非財務情報も「ESGパフォーマンス」として評価し、「経営の総合力」をつけた。
具体的には、特定企業(以下、A社)について、A社の「財務パフォーマンス」「ESGパフォーマンス:の潜在的な経済価値の創造力を測定し、それに対してA社の「財務パフォーマンス」「ESGパフォーマンス」の実質的な経済価値の創造力を開示情報などに基づき評価し、そのギャップ(乖離の程度)を指標に点数化・格付けした。