ソロスは米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に寄稿した意見記事で、「スタートアップや既存企業、ソーシャルインパクトイニシアチブ、そして移民・難民が自ら立ち上げた事業に投資する。私の関心は主に欧州に到着する移民・難民の支援にあるが、世界中の移民の手助けになるような良い投資アイデアを募集する」と述べている。
ソロス自身もまた、1946年に母国ハンガリーを逃れた移民だ。少年時代をロンドンで過ごし、鉄道の客室係やウエイターとして働きながらロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業。ニューヨークへと移り住み、ウォールストリートで働き始めた。1969年に1,200万ドルの資金を元手にヘッジファンド「クォンタム・ファンド」を設立。フォーブスは、ソロスの現在の総資産を249億ドルと推定している。
ソロスは以前にも、自身の財団「オープン・ソサイエティ」を通じ、生涯で110億ドル以上を寄付する意向を表明している。今回の5億ドルは寄付ではなく投資で、運用は自身のNPOが行うという。「この投資は、成功を前提としている。民間資本が移民支援に建設的な役割を果たせることを示したいからだ。利益は全てオープン・ソサイエティ財団のプログラム運営に充てられる。こうしたプログラムには、移民・難民支援も含まれる」とソロスは説明している。
ソロスはここ数年にわたり、移民支援団体への寄付を続けてきた。また、米大統領選で反移民的な発言を連発する共和党候補のドナルド・トランプに批判的な立場を取っており、3月にはヒスパニック系有権者にトランプ不支持を呼び掛ける政治活動委員会「Immigrant Voters Win PAC」を通じた500万ドルの寄付を表明している。