全米に1,100以上の店舗を展開するパブリックスは従業員所有企業としては米国最大の食料品チェーンで、売上高は米スーパーマーケットチェーンで上位10位に入る大手だ。そのパブリックスがクリケットバーを扱っているとは…。
次の驚きが、シアトル・タイムズのこんな記事だった。コオロギのプロテインバーがシリコンバレーのIT企業従業員らの間で流行しており、シアトル周辺に店舗を展開する食料品チェーン「タウン&カントリー・マーケッツ」もコオロギ食品の販売を予定しているのだという。
シアトルはIT産業の中心地かもしれないが、このチェーンは私もよく利用するごく普通の食料品店で、大規模商店でも、健康食品店でもない。地ビールの取り揃えが豊富な点を除けば、店頭に並ぶ商品は一般になじみのあるものばかりだ。そんな店までもが、コオロギ食品を販売しようとしているのだ。
コオロギ食のブームと衰退
米国ではここ数年、「昆虫食」が一種のブームとなっていた。国連の食糧農業機関(FAO)は2013年、昆虫食が食糧難解消のカギとなる可能性があるとする報告書を発表。その中で、「コオロギは、牛の12分の1、羊の4分の1、豚や鶏の2分の1の飼料で同量のタンパク質を生産できる」と指摘している。
ウィメンズ・ヘルス誌によると、コオロギのタンパク質含有量は100グラム当たり約13グラムで、鶏卵およそ2個分に相当する。
コオロギはこうして、「未来の昆虫食品」(ブルームバーグ)や「完璧なタンパク質」(メンズ・ヘルス誌)などともてはやされるようになった。ポピュラーサイエンス誌によると、コオロギ食品を手掛けるスタートアップは2012~15年の間に30社以上も誕生している。