その中で核となるのが、マロニーが共同提案者に名を連ねる「ERA(Equal Rights Amendment=男女平等憲法修正条項)批准法案」の重要性だ。ERAは性差によって権利の平等が侵害されないことを求めた合衆国憲法に対する修正条項で、1972年に連邦議会を通過したが、1982年の批准期限までに憲法修正に必要な50州中38州の批准をわずか3票の差で得ることができず、不成立に終わった。「(男女の平等に関する権利は)連邦による保護が必要なの」とアーケットは言う。
明るい兆しもある。今年、ホワイトハウスが同一賃金の実現に対する誓約(White House Equal Pay Pledge)を提案し、アップル、フェイスブック、ターゲット、CVSヘルスなど多大な影響力を持つ大企業が署名した。アーケットは「多くの企業が署名した一方で、拒否する企業も少なくない。私たちはそのような法的保護がない分野をケアしなければいけない」と話す。
11月の米大統領選本選に向けて、アーケットは有権者に候補者たちの賃金公正法(Paycheck fairness Act)に対する姿勢をチェックするよう呼びかけている。これまで4度にわたって共和党議員に否決されてきた同法案は、男女間の賃金格差の是正を目指すものであり、同一賃金法(Equal Pay Act)強化への重要な一歩となるからだ。
アーケット自身はヒラリー・クリントンの支援者だ。ドナルド・トランプが共和党候補に指名されたことについて「恐怖を覚える」と言う。その理由は、トランプが女性の権利問題を無視し、性差別的な発言を繰り返すからだけではない。
「科学を信じない人が大統領候補になることがショッキングなの。気候変動の問題一つとっても、私が生きている間は大丈夫かもしれないけど、子どもや孫の世代はどうなるのか? そんなことを考えない人がアメリカをグレートになんてできるわけがない」