ビジネス

2016.09.09 11:00

中国のアップル離れ、iPhone 7投入でさらに悪化も


中国のユーザーが欲しているのは、小型ワイヤレスイヤホンではない。中国のエリート層はかつて、高価なiPhoneをステータスシンボルとみなしていたが、今は華為を好むようになっている。華為のスマホは洗練されたデザインで、SIMカードスロットを2つ備え、バッテリーのもちがいい。どれも、出張や電話会議が多いエリートには重宝される機能だ。

市場調査会社カナリスのニコル・ペン調査部長は、従来のヘッドホンがアダプターを通じてしか使えないことや、頻繁な充電が必要なAirPodsが、ユーザー離れにつながるだろうと予測。iPhone 7 Plusに新たに搭載されたデュアルカメラも、華為やOPPOを含む多数の中国企業が既にカメラ性能の高い製品を投入していることから、大きな魅力にはならないという。

カナリスによると、中国における今年度第2四半期のアップル製品のシェアは、同社の最重要価格帯である500ドル以上の製品で38%と、前年同期の67%から大幅に減少した。これは、華為との競合によるところが大きいという。

さらに、アップルが中国でエコシステムを構築するために必要なサービスを展開できていないことも、同社に不利に働いていると、調査会社フォレスターのトラビス・ウー調査部長は指摘する。他国で人気の「iBook Store」や「iTunes Movie」といったサービスは中国では4月から禁止されており、その理由について当局からの説明はないままだ。

「アップルは、欧州や北米ではiTunesを使って売り上げを伸ばすことができる。だがこうした戦略は、規制リスクの高い中国では通用しない。アップルは中国でいくつかの障害に直面しており、iPhone 7をもってしてもそれは解消されない」とウーは語っている。

編集=遠藤宗生

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