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2016.08.28

ディズニーがMLBのストリーミング事業に投資、ケーブルテレビの「危うい未来」に備え

Photo by Andrew Burton / gettyimages


ソフトウェアは、私たちがあらゆるものを消費する方法を変えている。車は“所有”から“モビリティ”の時代に変わりつつある。以前は代理店で依頼していた旅行の準備は、予約サイトで直接行うようになっている。そしてメディア消費も、完全なオンデマンド式への道を歩み出している。

コンテンツは全てデジタルになっており、あとの問題は配給だけ。テクノロジーによってそれがより簡単になり、広く受け入れられるようになっている。

ほかの多くのものと同様、私たちはボタンを押せば、自分の望むものが魔法のように現れるようになることを期待している。

各ケーブルテレビ事業者はそれを認識しており、今のモデルが破綻した場合の次なる手段を用意している。ケーブルテレビの視聴契約をしている世帯の割合は、2014年から減少に転じ始めた。既に視聴契約の解除件数は300万に達しており、また常にネット上でコンテンツを無料視聴できるという理由から、有料テレビに一度も加入したことがない人も増えている。

さらに2月には、米連邦通信委員会(FCC)が、ケーブルテレビや衛星テレビ用のセットトップボックスについて、サードパーティ製品の利用を認める内容などを含む新提案を可決。これがコンテンツ競争のさらなる激化を招くことになり、またソフトウェア各社による新たなユーザー経験の開発にもつながるだろう。

だからこそ各ケーブルテレビ事業者は、ずいぶん前にデジタルメディア事業を分散させたのかもしれない。AT&Tは今やディレクTV(Direct TV)だけでなく、大規模な携帯電話・インターネット事業も展開している。チャーター・コミュニケーションズやコムキャストなどの企業もブロードバンド事業に参入するなど、多角化を行っている。

実際、高速インターネットサービス事業への大規模な投資は、消費者がテレビからストリーミングに移行してもこれらの企業が最終的に得をすることを意味する可能性がある。

ディズニーは経営状態のいい安定した事業だが、残念なことに彼らが守ろうとしている資産はコモディティ化の時代を迎えている。今はコンテンツが王様とはならない新しい時代だ。王冠を頂くのに最もふさわしいのは、ソフトウェアと配給の組み合わせなのだ。

編集=森 美歩

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